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2023年1月24日

国交省検討会 まちづくりにおける駐車場政策のあり方、ガイドライン骨子案

国土交通省は、社会情勢の変化などを踏まえつつ、道路交通の円滑化だけでなく、居心地が良く、歩きたくなるまちづくりや土地の有効活用といった、より包括的なまちづくりを見据えた今後の駐車場政策のあり方について検討を進めている。

有識者らによる「まちづくりにおける駐車場政策のあり方検討会」(座長=岸井隆幸・一般財団法人計量計画研究所代表理事)を設置して議論を進めており、2022年12月に開催した検討会ではまちづくりと連携した駐車場施策ガイドラインについての更新骨子案(たたき台)を示した。

ガイドライン更新の考え方としては、〝自動車中心〟から〝人中心〟の空間へと転換を図る。街中を歩いて移動できる範囲で滞在の快適性向上を目的に、道路や公園などの整備や修復・利活用に向けた取り組みを図るウォーカブル施策をはじめ最近の動向を踏まえる。

また、ガイドラインの構成は「基礎編」と「実践編―調査・分析」を統合し、実践編では本文中の取り組み事例をまとめて巻末に参考資料として掲載。ガイドラインの内容を明確化するとした。さらに、駐車場法令に基づく事項(必須)、推奨事項、自治体の独自事項(参考)などが分かるように整理する。

これを踏まえ、20年の「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律」といった駐車場法の特例措置やバリアフリー関連の各種法令・好事例、自動二輪車などの自転車法と駐車場法、地域の実情に応じた対策・好事例、荷さばき、観光バスの支援制度・好事例などの整理を進める。

また、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランフォーメーション)への対応などもまとめ、特に電気自動車(EV)への対応やデジタル技術の活用にかかる好事例を整理するなどの観点を追加する。さらに地域ルールの解説や地区マネジメント制度といったエリアマネジメントのほか、自動運転や海外の事例なども追加するとしている。

駐車場施策に関する社会情勢の変化や駐車場施策を取り巻く課題では、市街地の空洞化や自動車需要の誘発といった供給量に関する課題、街並みの分断や歩行者との錯綜などの配置に関する課題を挙げる。

また、空き駐車場を探す「うろつき交通」や渋滞といった配置に関する課題、ウォーカブルやバリアフリーなどの人中心の空間づくり、荷さばきや観光、自動二輪車や新たなモビリティの台頭(モビリティの多様化)、GX、DXへの対応など社会情勢の変化を踏まえた課題を指摘している。

こうした課題を踏まえたまちづくりと連携した駐車場施策の検討では、ガイドラインの対象とする地区について都市の総合交通体系や土地利用状況を考慮して検討範囲を決定。既存の駐車場整備地区や滞在性、快適性などの向上区域などとも整合させるとしている。

一方、都市が目指すべき将来像については、将来像を実現するための総合的な交通体系とそれを踏まえた駐車場のあり方を検討する。さらに街路の性格付けを図り、人中心の空間づくりを行う範囲の検討、にぎわいを創出する街路や広域道路ネットワークを形成する幹線道路などの整理、土地利用状況や周辺交通インフラ状況を踏まえた性格付けを行う街路ごとの性格付けの検討について指摘している。

さらに、駐車場の需給状況だけでなく土地利用、交通状況、社会経済動向などを広く調査・分析する多角的な状況分析を行う上で必要となる調査・分析、都心部外周の幹線道路沿いに路外駐車場を計画的に配置して都心部への車の乗り入れを抑制するフリンジパーキングの設置、にぎわいを創出するエリアの駐車場集約といった駐車場の配置の適正化を検討。

地域住民らともビジョンを共有して連携しながら歩行者中心の街路を構築する歩行者中心の街路空間の構築に向けたさまざまなアプローチ、配置、規模、機能などの観点から、駐車場として存置すべきか検討する駐車場の有用性を検証。

こうした有用性の検証を踏まえて、必要に応じて土地利用転換を誘導(都市の余白としての活用)する民間駐車場も含めた有用性の検証と土地利用転換・利活用の推進などを検討するとしている。

駐車場に関する現況把握についても示しており、民間駐車場も含めた立地状況や利用状況、料金形態などの駐車場の設置状況などの把握、カーシェアリングを含めた自家用車や自動二輪車、荷さばき車両、観光バス、新たなモビリティ、自転車など車種ごとの駐車状況の把握などをポイントとして挙げる。

また、交通現況・将来見直し(交通センサスなどの活用)、土地利用の状況・開発動向、社会経済動向(人口、高齢化など)、来街者・民間活動の状況など、多角的な観点からの現況把握も必要とみている。

具体的な施策の検討においては、目指すべき都市像を踏まえて適正な需給バランスを検討や駐車場の質向上に向けた車種ごとの需要などを前提とし、きめ細やかな施設計画や配置の最適化などを検討。

また、管理運営や面的コントロール、エリアマネジメントといった駐車場のマネジメント、存続・転換、経営マネジメントなど有用性の検証なども図る。さらに、交通課題がある駐車場やにぎわいづくりの支障となる駐車場の転換促進・支援など土地利用転換や利活用も検討する。加えて駐車場整備計画の策定・見直し時のポイント・流れを解説し、駐車場整備計画などの策定・見直しなどを図るとしている。

まちづくりと連携した駐車場施策の進め方では、附置義務駐車場の原単位の見直しや条例などの地域独自のルールの策定と運用に当たっての留意事項、特例措置、DXを活用した適切な誘導・効率的な運営など供給量適正化の手法を図る。

また、附置義務の緩和・隔地・集約や立地および出入口のコントロール、駐車場の再配置(リロケーション)、民間によるまちづくりの取り組みとの連携、まちづくりと連携した駐車場の整備を支援する各種制度といった配置の適正化の手法も図る。

政策課題に対応した駐車場施策では、課題別の対応策を検討や各課題の検討の際の留意事項の整理、荷さばきなど都市内物流や観光(観光バス、渋滞対策)、自動二輪車や電動キックボードなどの多様なモビリティへの対応、バリアフリー、GX・DXなどの国内・海外の好事例の収集なども図るとしている。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月16日掲載