会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2023年1月24日

電動キックボード、7月から全国統一ルール適用 16歳以上で免許不要

電動キックボードに関する法整備が進み、7月1日から全国統一のルールが適用される。一定要件を満たす車両は16歳以上を対象に運転免許が不要となり、速度制限をした上で歩道も走れる。ルールが整うことで、新規参入企業も増え、市場拡大に弾みがつきそうだ。一方で、官民で新しい走行ルールの周知や事故防止対策も求められる。

2022年4月に成立した改正道路交通法で「特定小型原動機付自転車」(特定原付)という新区分が設けられた。これにより、原動機付自転車(原付)に区分されていた電動キックボードは、一定の車体構造基準を満たせば特定原付となる。自転車と同様に運転免許は不要で、ヘルメットの着用は任意だ。ただし16歳未満は運転禁止だ。基準を満たせば、小型電動バイクも特定原付となる。

ただ、すでに市場に出回っている原付扱いの電動キックボードは、特定原付の車体構造基準に合わせない限り、運転免許とヘルメットが必須のままだ。

特定原付として定める車体構造基準は、長さが190㌢㍍以下、幅が60㌢㍍以下で自転車と同じ。バッテリーの定格出力は0・6㌔㍗以下、最高速度は時速20㌔㍍以下のものとしている。車道、自転車道に加えて、最高時速6㌔㍍以下なら歩道も走れる。

22年12月に国土交通省が公布した改正道路運送車両法に基づく特定原付の保安基準では、最高速度の設定に応じて点灯・点滅が切り替わる「最高速度表示灯」の設置が決まった。速度制限と連動させ、車道モードは「緑色点灯」、歩道モードは「緑色点滅」になる。

国交省は、特定原付の保安基準項目について、原付を基本としつつ、特有の構造・必要性を踏まえて決定した。追加した装置は最高速度表示灯のほかにも、尾灯、制動灯、方向指示器、スピードリミッタ―などある。一方で後写鏡と消音機は削除した。

保安基準と同時に「特定原付の性能等確認制度」も創設した。国交省が委託した民間機関が基準適合性などを確認し、合格した車両に認定シールを交付する。認定の有効期間は5年だ。

電動キックボードも、悪質な運転は反則金の納付対象になる。危険行為を繰り返せば「特定原付運転者講習」の受講が命じられる。対象は「信号無視」「酒気帯び運転」など、自転車とほぼ同様だが、車道や歩道での集団走行による「共同危険行為」と「携帯電話使用」を追加した。

改正道路交通法の成立時は、新ルールの適用を「24年4月まで」としていた。ただ、特例措置が適用されたエリアとそれ以外ではルールが一部異なるなど、利用者の混乱を招きやすいことが指摘され、全国統一ルールの適用が早まった格好だ。

法整備により、電動キックボード市場に新規参入する企業も増えそうだ。自動車メーカーではビー・エム・ダブリュー(BMW)やアウディなど欧州メーカーがすでに商品展開をしている。日本はホンダのベンチャー企業「ストリーモ」が3輪型の電動キックボードを発表した。

一方、交通違反や事故なども増えている。警察庁の調べによると、21年9月~22年6月に電動キックボードに関連する検挙件数は654件。最も多かった違反は「通行区分」だった。指導警告件数は767件で、内訳は「整備不良」が最多だった。人身事故は全国で49件起きている。電動キックボードを普及させるためにも、ルールやマナーの啓発が引き続き求められる。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月21日掲載