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自動車産業インフォメーション

2023年1月18日

アフターマーケット業界 制度改正や新ガイドラインへ対応

2023年のアフターマーケット業界は制度改定や新たなガイドラインへの対応、業界を挙げたサービス拡充など新たなチャレンジがスタートしている。デジタル技術の活用などでユーザーの利便性向上に加え、事業者側の業務効率化や人材不足の解消につなげる狙い。

また、幼児置き去り防止装置の新製品投入を急ぐ用品業界では、事故の再発防止につなげることで社会問題の解決にも貢献していく考え。こうした大きな変化は、ビジネスチャンスが広がるきっかけになる可能性もあり、各方面が大いに期待を寄せている。

自動車整備業では4日から自動車検査証の電子化(軽自動車は24年1月から)が始まった。自動車関係保有手続きのワンストップサービス(OSS)の利便性向上など、指定整備工場の車検関連業務の効率化が期待できる。ただ、電子車検証の発行が紙の車検証よりも時間が掛かる見込みで、電子車検証へ完全移行するまで運輸支局などの窓口の混雑が予想されている。

また、24年10月に控えるOBD(車載式故障診断装置)を活用した自動車検査に向けて、保安基準への適合を判定する「特定DTC照会アプリ」のリリースやシステムのプレ運用が始まる予定だ。

4月に送迎バスなどへ幼児置き去り防止装置の設置が義務化されることを受け、用品業界も動きが活発になっている。22年9月に静岡県で発生した事故以降、用品メーカーを中心にさまざまな製品が発表されており、今後車両への搭載が本格化するとみられる。

同年12月には、国土交通省が製品の仕様を定めたガイドラインが策定。これを基に各企業では、4月の義務化に向けて製品開発の追い込みをかけることになりそうだ。

ガイドラインでは「降車時確認式」「自動検知式」を基本とし、警報装置の搭載や耐久性基準など、細かな規定が設けられた。幼児置き去り防止装置は当初、企業側が先行する形で製品の開発が進められており、メーカーによっては別途対応が必要になるケースも生じるとみられる。義務化までの短い期間で、各メーカーがガイドラインに対応した製品を世に送り出すことに、注目が集まりそうだ。

日本自動車リサイクル部品協議会(JAPRA、佐藤幸雄代表理事)は今春をめどに、JAPRAに加盟する各団体・企業が運営するリサイクル部品在庫共有システムを相互接続する。供給可能なリサイクル部品の点数を増やし、整備事業者に対するリサイクル部品の納品率向上を図る。

整備事業者にとっては、これまでよりもさらに最寄りのリサイクル事業者から部品供給を受けることができ、納期が短くなることで作業時間の短縮も期待できる。リサイクル事業者にとっても運送コストの低減につながる。佐藤代表理事は「修理費が安価で環境に優しいリサイクル部品の市場拡大につなげたい」と意気込みを見せる。

整備学校でも新たな動きが出ている。静岡自動車学園(平井一史理事長)は4月、浜松市中区に2校目となる自動車整備士養成施設「浜松工科自動車大学校」を新設する。ディーラーなどからの求人増に対応する。

コロナ禍で入国者数が落ち込んだ外国人留学生向けの学科を除き、全体的に入学生の応募は好調という。平井理事長は「地域の期待の大きさをひしひしと感じる」と手応えを示し、一人でも多くの自動車整備士育成に注力していく。

また、東京都立の工業高校も4月から高校名を変更する。現在、都立の工業高校は計15校あるが、急速な技術の進化に対応する学校づくりの一環として、4月からすべての高校が工科高校に校名を変更する。都立蔵前工業高校(台東区)は来年度から機械科にロボティクスコースを新設。自動車生産の現場でも活躍している産業用ロボットなどを学ぶことで、日本のものづくりを支える若い人材育成を加速させる。

中古車業界は、10月に中古車の価格表示が大きく見直される。自動車公正取引協議会(自動車公取協)は22年6月、中古車価格で諸費用を含む支払総額表示を販売店に義務付ける自動車公正取引規約・規則改正案を正式に決めた。

自動車公取協の消費者相談室には、中古車関係の相談が年間で約3千件寄せられる。このうち、ユーザーが本来支払う必要のない、追加の有償保証や整備の実施、納車費用などを強制する事例の相談が後を絶たない。

自動車公取協では、こうした事例の注意喚起に力を入れてきたが、中古車に掲示する販売価格で購入できない事例が多いことを問題視。事業者が中古車の価格を展示車両と広告に表示する場合、消費税と自賠責保険料、登録料などの諸費用含めた表示を義務付けることにした。既に業界内や消費者に向けた周知活動を展開しており、円滑な制度施行を目指している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月7日掲載