会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2023年1月17日

ヤマハ発動機 開発中の次世代環境対応技術、本社で公開

ヤマハ発動機は、静岡県磐田市の本社で、電気自動車(EV)向け製品や水素エンジン搭載の試作車など、開発中の技術を報道機関向けに公開した。同社では、電動車向けモーターや水素エンジンなどの環境対応技術を開発する設備を2023年末に完成する予定で、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)社会に向けた製品の開発に注力している。今回、次世代モビリティ向け製品開発の進ちょく状況を公開した。

次世代環境技術の展示会場には、水素エンジンを搭載したトヨタ自動車の「カローラクロス」や、ヤマハ発の「ROV」(オフロード四輪車)を展示した。ROVにはトヨタのレクサスインターナショナルとヤマハ発が共同開発した水素エンジンを搭載した。

ガソリンエンジンからの変更点は主に「ヘッド」「水素インジェクター」「水素デリバリパイプ」「点火プラグ」「水パイプ」だ。ガソリンエンジンから大きく構造を変更せずに開発でき、ガソリンエンジン開発で蓄積してきたリソースを有効活用したという。

また、水素関連製品として、水素エンジンを搭載した発電機も開発している。ガソリンエンジンの発電機がベースで、内燃機関の技術を応用、高性能な製品開発につなげる方針だ。

EV関連製品の技術を紹介するため、21年に立ち上げた自動車向け製品・技術コンセプトブランド「alive(アライヴ)」のサウンドデバイス「aliveAD」を搭載したEVの試乗会を行った。開発担当者は「EVはモーターで走行するため、車室内が極めて静か。アクセルの踏み込み具合や走行している感覚は、ガソリン車に比べて感じにくい」と話す。

サウンドデバイスは、こうしたEV特有の課題解決を図るものだ。アクセルの踏み込みの強弱などによって音が変化し、加速している感覚を音で運転者や同乗者に伝える。サウンドデバイスは、楽器のヤマハと共同開発した製品で、再現した音源にもこだわった。すでに自動車メーカーへ提案しているという。

改造したコンバートEVの試作車も公開した。ヤマハ発が開発したモーターや制御ユニットなどを搭載し、初心者でもドリフト走行できる。車両自体の市販化の予定はなく、あくまで取引先に技術を提案することに活用する。

一方、ヤマハ発は23年末までに電動車向けモーターや水素エンジンを開発する研究開発設備を拡充する。モーターテスト用のベンチや水素エンジン開発用の水素供給装置など備えた研究開発棟を本社に設置する。カーボンニュートラルに対応したモビリティ向けの環境対応技術の開発を加速する構えだ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月11日掲載