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2022年12月23日

日本自動車購入協会 車買い取りトラブル消費者相談が急増

中古車買い取り事業者などで組織する日本自動車購入協会(JPUC、井上貴之代表理事)が設置している「車売却消費者相談室」の相談件数が急増している。特に、JPUC非会員企業による買い取り行為についての相談が多い。消費者が買い取りをキャンセルした際の違約金については、買い取り業者の一部で法外とも思われる金額を請求する例もある。

JPUCでは、来年3月をめどにホームページを刷新して相談事例を紹介するコンテンツを用意する予定で、広く消費者に注意を呼びかける考えだ。

JPUCの車売却消費者相談室は、消費者が一括査定サイト運営事業者や車買取事業者との間で車を売却する際の困りごとなどの相談を受け付けている。相談件数は、2019年と20年は大きな変化は見られなかったが、21年に入り相談件数が増加。22年は相談件数の増加ペースが加速した。長引く新車供給不足による中古車流通量の減少や中古車相場の上昇などが背景にあるという。

相談内容のうち、キャンセル拒否に伴うトラブル相談件数は、21年は20件だったのに対し、22年は1~10月までで45件と2倍以上に増えた。相談事例は、「次の買い手が決まっている」とか「オークションサイトに出品した」という内容に加え、「すでに陸送の手配をしているためにキャンセルできない」と言われたケースもある。

キャンセルに伴う違約金トラブル相談の件数は、21年は134件だったのに対し、22年は10月までの10カ月間で182件となり、年間で200件を超えそうな勢いで増えている。相談事例では、買取の契約金額100万円以上の場合は契約金額の10%、100万円以内の場合は一律10万円を請求するという相談が多いという。

また、契約書の備考に「お客さまからの一方的なキャンセルは契約金額の20%を請求します」と追記され、車を引き渡す前にキャンセルを申し出たところ違約金を請求されたという。さらに、売買契約書に違約金に関わる記述はないが、キャンセル時に担当者から「キャンセル料10万円を絶対に取る」と言われたとの相談もあった。

非会員店による違約金に関する相談事例では、常識の範囲を超えた金額を請求するケースが散見されている。西日本に本拠を置く廃車買い取り査定サイトを運営する会社の相談も寄せられているという。

JPUCでは、非会員の事業者に直接指導ができないが、理事を務める弁護士や識者の見解や過去の判例などを相談者に伝えることなどを通じて、解決に努めている。来春にはホームページによる情報発信を強化する考えで、消費者の車買い取りに関する理解促進につなげる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月20日掲載