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2022年12月15日

宅配便配送能力に関するレポート 30年の取り扱い25%増

NTTデータグループのコンサルティング会社のクニエ(土橋謙社長、東京都千代田区)は、2030年までの宅配便の需要動向を「宅配便の配送能力に関するレポート」にまとめ公開した。

これによると同年には宅配便の取り扱い数が20年比25%増の60億個に拡大する半面、ドライバー不足が約5万8千人に上る見込みとした。その上で配送能力不足に対する代替手段として「商用EV三輪バイク」の活用を提言した。

見通しは、宅配便取り扱い数増加に伴うドライバー不足が指摘される中で、今後の配送力の不足状況やそれを引き起こす課題を把握し、具体的な対策に活用することを目的に、同社が独自に試算した。試算では「宅配便取り扱い個数」「人(ドライバー)」に加えて「車両(トラック)」にも着目し、30年までの配送能力を予測した。

宅配業務の〝負荷〟となっていたBtoCの電子商取引(EC)市場は、20年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴う「巣ごもり需要」の影響によりさらに拡大。国内の宅配便取り扱い個数は20年度に約48億個となった。

その一方で配送車のドライバー不足が指摘されるようになった。さらに24年4月から働き方改革関連法による「時間外労働時間の上限規制」が「自動車運転の業務」にも適用される。これによる物流コストの上昇と人手不足の加速が、物流業界全体における「2024年問題」として懸念されている。

物流企業はこうした課題への対応を検討するものの、中長期の宅配便取り扱い個数に対する配送能力見込みについて、具体的な数値は明らかになっていなかった。そこで同社は宅配便の個数予測を算出し、物流にどのような影響を与えるのかを18年を起点に、2030年まで見通した。そして30年には約5万8千人のドライバー不足に加えて、車両台数が約1万台不足するという結果が出た。

「トラックによる配送能力不足」の代替手段については、トラックによる宅配便が課題を抱えていることから、「トラック」という配送手段自体を見直す時期が来たとした。そして「環境問題」「道路事情」「小型荷物の増加」「トラック運転手数の鈍化」という4つの観点から、配送能力不足を補う輸送手段として商用EV三輪バイクの利用を提言するとした。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月5日掲載