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2022年10月25日

多様化するキャンピングカー メーカー各社さまざまなニーズに対応

新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化や災害時の防災対策などでキャンピングカー需要が高まっている。一方、代替や新規購入者の増加に伴い、キャンピングカーに対するユーザーの要望も多様化している。キャンピングカーを製造する各社では、独自の装備開発や買い求めやすい価格設定など、さまざまなニーズに対応してキャンピングカー市場の拡大に貢献している。

ナッツ(荒木賢治社長、福岡県遠賀町)は、キャンピングカーのサブバッテリーへの充電システムを自社開発した。最近のユーザーの間では、家庭用エアコンなどの家電製品を搭載したキャンピングカーを購入したいという要望が増えているという。しかし、家電製品の搭載には、車両の十分な電力の確保が課題となる。

同社の開発担当者は「従来のシステムでは、燃費向上を図るために、オルタネーターの発電量が抑えられており、走行時のサブバッテリーへの充電量が十分ではなかった」という。そこで、オルタネーターとバッテリーの間に専用のユニットを接続し、発電された電気を昇圧することで、安定的な家電用品の使用を可能にした。発電量は走行時で最大100㌂となり、4個のサブバッテリーを最速4時間で充電できる。

新たにキャンピングカーの購入を意識するユーザーも増えている。こうしたユーザーの中には子育て世代も多く、子どもの教育費用を考慮すると高価格帯のキャンピングカーには手が出せないという悩みが、キャンピングカーの購入を踏みとどまる要因になっている。

キャンピングカー購入の間口を広げることを目的に、神奈川トヨタ(市川英治社長、横浜市神奈川区)は、トヨタ「ハイエース」「タウンエース」ベースのキャンピングカーを開発した。キャンピングカーとして必要な装備を完備しながら、販売価格は同様の車格のミニバンとほぼ変わらない設定とした。

同社は「『ノア』『ヴォクシー』『アルファード』オーナーの車中泊ニーズに対応できる」と語る。また「キャンピングカーからミニバンへの代替需要も想定できる」と相乗効果への期待も高い。

一方、キャンピングカーの盛り上がりに水を差しているのが納期問題だ。日本RV協会(JRVA、荒木賢治会長)がまとめた「キャンピングカー白書2022」によると、受注から納車までの期間は平均で1~2年かかっているという。納期の長期化は顧客満足の低下を招きかねない。

こうした課題に対し、キャンパー厚木(竹内啓二代表取締役、神奈川県厚木市)では、独自の視点で解決に取り組んでいる。同社が販売する軽キャンピングカー「チッピー」では、搭載する機能を限定することで製作期間を短縮し、納期の早期化を図っている。同社関係者によれば、「架装については数日で行えるように設計している」という。

盛り上がりを続けるキャンピングカー市場。これをさらに加速させ、車中泊とくるま旅の文化の定着につなげるため、JRVA会員各社の企業努力は今後も続きそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月22日掲載