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自動車産業インフォメーション

2022年10月20日

国内市場でも着実に高まるEVの存在感 CEV補助金継続も後押し

国内の電動車市場が、にわかに活気付いている。国産車、輸入車の各ブランドが電気自動車(EV)の新型モデルを市場に投入。6月の軽乗用EVの発売以降、EVの新車販売比率が伸びている。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の達成に各方面が取り組む中、当初予算が今月末にも尽きる「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」が継続実施される予定で、EVの存在感がより一層高まりそうだ。

国内の新車販売台数のうち、EVが占める割合は全体の1%未満で、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)が国内の電動車販売をけん引している。しかし、5月に日産自動車と三菱自動車が新型の軽EVを発表し、潮目が変わりだした。

日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」は、販売価格と1充電走行距離のバランスや、自治体や企業、ユーザーのEV導入意識の高まりなどを背景に注目を集めている。サクラの販売台数は6月の発売以降、右肩上がりで伸びており、9月は4247台と大きく伸ばした。同月までの累計販売台数は1万2942台と、EV市場のけん引役に躍り出た。

国内EVの先駆者である日産「リーフ」は、半導体不足などの生産調整も影響したが、4~9月の半年間で前年同期比23・4%増の5631台を販売した。こうした状況下で、9月の新車販売台数に占めるEV比率は、前月比1・7㌽増の2・7%と上昇している。

輸入ブランドは、各セグメントにEVが設定され、新車販売台数に占めるEV比率は国産ブランドより高い。9月の新車販売に占めるEV比率は7・5%と、単月として過去最高を記録している。

今後も、欧米ブランドの新型EV投入に加え、中国・比亜迪(BYD)の日本法人ビーワイディージャパン(BYDジャパン)は2023年に乗用EV3車種を国内で発売する予定で、輸入ブランドのEVシェアは、さらに高まることが見込まれる。

EV販売で先行する米テスラは、日本の新車販売台数を非公表としており、日本自動車輸入組合(JAIA)の統計資料では「その他」に分類される。

テスラモーターズジャパンが国土交通省に届け出たリコール台数から、テスラ「モデル3」の販売台数を推測すると、1カ月で250~300台近くを販売しているものと考えられる。テスラ全体の年間販売台数は約5千台とみられており、全体の約7割がモデル3で占められているようだ。

BYDジャパンの劉学亮社長が「EVを買う、買わないではなく、いつ買うかということだ」と話すように、EVを視野に入れるユーザーが増えている。充電ステーションも、民間企業を中心に設置数が伸びている。ユーザーが納得する販売価格と航続距離を両立したEVが増えてくれば、国内市場でさらに存在感を示すことになる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月17日掲載