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2022年10月13日

部品メーカー、操舵技術開発急ピッチ 高度な自動運転の実用化見据え

ステアリングシステムの部品メーカーが高度な自動運転の実用化を見据えた技術の開発を本格化している。ジェイテクトは4日、システムによるステアリング操舵とドライバーの操舵介入を協調する「ペアドライバー」を開発したと発表した。日立アステモは電気信号で制御する「ステアバイワイヤ(SBW)」のプロトタイプを開発した。

法改正が進んでいることもあって、高度な自動運転の実用化が進む見通し。操舵の自動化に伴う部品の需要を取り込むための開発競争が激化している。

ジェイテクトが開発したペアドライバーは、自動運転中、ドライバーのステアリング操作を検知すると、システムがハンドルの振動や反力で車両の状況をドライバーに伝達するとともに、操舵を支援しながらスムーズな手動運転に切り替える技術だ。

同社では、2017年に自動運転や運転支援時にシステムの「意思」をドライバーに伝える技術の開発に着手した。ペアドライバーは自動運転や運転支援をスイッチ操作などで切り変える必要がなく、ドライバーの操舵介入意思を検知すると、スムーズに手動運転へ切り替える。

電動パワーステアリング(EPS)による運転支援や自動運転に対応するほか、機械的機構をなくして電気信号のみで操舵できるステアバイワイヤにも応用可能としている。

また、日立アステモが開発したステアリングとタイヤを機械的につなぐことなく、電気信号で制御するステアバイワイヤのプロトタイプは自動運転技術の進化を見据え、高度なステアリング制御の実現と冗長性を確保したのが特徴。今後、親会社の日立製作所の研究開発グループとも連携して量産品を開発、早期の実用化を目指す。

プロトタイプの開発では、2021年に経営統合したグループ各社のノウハウを生かしたという。タイヤが路面との摩擦で戻ろうとする反力を電気信号として受信し疑似的に発生させる機能は、ショーワの高度なステアリングフィール技術を活用した。

路面から伝わる情報をドライバーに伝える技術は、ハンドルを切った角度に対して車体が曲がらない状態を伝える機能を日立の研究開発グループと共同開発したという。故障時にも動作を継続するフェイルセーフ機能として、操舵側と転舵側にあるアクチュエーターをつなぐワイヤーハーネスや電源を2系統化するなど、冗長性を確保している。

自動運転技術では、ステアリングの自動制御によるハンズオフ機能が今後、段階的に普及することが見込まれている。ステアリングメーカーはこれらに対応する技術の開発を強化して、自動運転車向けステアリングシステムの受注開拓を狙う。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月5日掲載