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2022年10月05日

大型車メーカー 小型EVトラックで物流会社の脱炭素化に貢献

大型車メーカーが小型電気トラック(EVトラック)の販売を通じて物流会社の脱炭素化を支援している。日野自動車はヤマト運輸に小型EVトラック「デュトロZ(ズィー)EV」が採用され、三菱ふそうトラック・バスは欧州最大の物流会社で小型EVトラック「eキャンター」が運用されている。三菱ふそうは充電器の導入サービスの提供を9月から開始した。

大型車メーカーは物流会社がEVトラックを利用しやすい環境を整え、ラストワンマイル配送でのEV置換を進めることで物流会社のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に貢献する。

日野はデュトロZEVがヤマト運輸に500台採用された。同社は2050年までにグループ全体でカーボンニュートラルを実現する方針を掲げる。30年までに全配達車両の4割に当たる2万台のEVを導入する計画で、デュトロZEVはこの一環だ。

ヤマト運輸は走行距離が短いラストワンマイル配送をEVに置き換えることで、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する。日野は作業効率の高いウォークスルー型のEVトラックの供給を通じてヤマト運輸の脱炭素化に貢献する。

三菱ふそうは17年に発売したeキャンターが世界で450台以上稼働している。一企業として最多の40台を運用するのが欧州最大の物流会社の独DBシェンカーだ。

同社は40年までにカーボンニュートラル実現を目指しており、30年までに道路輸送によるCO2排出量を21年比で50%削減する目標を掲げる。この一環としてEVと燃料電池車(FCV)の導入を進める。

eキャンターを含めバイクやバンなど小型EVのほか、大型EVトラックも導入している。今後はEVトラックを約1500台増やすなど電動化を加速する。三菱ふそうが欧州で年内に発売予定のeキャンターの次世代モデルについても「非常に期待している」(アンドレア・グーマングローバル・サステイナビリティ部門長)と導入を検討する。

三菱ふそうはEVトラックの運用パターンに合わせた充電器を選定し、設置工事までのプロセスを効率化したワンストップサービスの提供を開始した。EVトラック導入支援プログラム「FUSO eモビリティソリューションズ」の一環で、物流会社がEVトラックを利用しやすい環境を整える。

物流会社はカーボンニュートラル実現の手段としてEVトラックの導入に前向きなだけに、大型車メーカーは新製品の投入だけでなく、トータルソリューションサービスも含めて今後の需要拡大に対応する考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月29日掲載