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自動車産業インフォメーション

2022年10月04日

輸入車、タイヤ10月から相次ぎ値上げ 原材料費高騰や円安進行で

輸入車のインポーターやタイヤメーカーは、一部製品を10月から値上げした。今年に入り、複数回の価格改定となるケースも目立つ。国産車の中でも価格を見直す動きも出ている。原材料費や燃料費、輸送費などの高騰や円安を背景に社会全体で強まる値上げ圧力は、自動車業界にも確実に広がっている。こうした外部環境の改善のめどは立っていない。企業努力による吸収も厳しくなっており、今後も価格転嫁の動きが続きそうだ。

1日付で値上げするのは原材料コストの変動が価格に直結する市販用タイヤや、為替変動の影響を受けやすい輸入車など。タイヤメーカーでは横浜ゴムが最大8%の値上げを実施。同社は夏用やオールシーズンタイヤを今年4月、冬用タイヤを7月に最大9%値上げしており、短期間での価格改定を余儀なくされた格好だ。日本ミシュランタイヤ(須藤元社長、東京都新宿区)も同日付で最大8%の値上げに踏み切った。

輸入車では同日付で、ルノー・ジャポン(小川隼平社長、横浜市西区)が「ルーテシア」「キャプチャー」を約10万円値上げした。ステランティスジャパン(ポンタス・ヘグストロム社長、東京都港区)も同日出荷分から「プジョー」「シトロエン」「DSオートモビル」の3ブランドで価格改定する。

とりわけDSオートモビルでは、今年3月に導入した新型セダン「DS9」が、わずか半年間で3度目の価格見直しとなった。計36万円の値上げとなり、当初の見通しを上回るペースで情勢が悪化していることがうかがえる。

プジョーも「208」の最廉価グレードで改定後価格が296万4千円となり、2020年7月に現行型に全面改良した当初から2年あまりで50万円以上も価格が上昇。同モデルは手頃なコンパクト車の位置付けだが、価格面では1ランク上のモデルに近づきつつある。

輸入車は世界的な新車生産のひっ迫を受け、各国市場で割り当て台数を奪い合う状況が続く。これに、円安が重なり、日本市場の優位性が低下しつつあることも影を落とす。メルセデス・ベンツ日本(東京都品川区)の上野金太郎社長も「ありとあらゆるコストが上昇し、当社ももれなく値上げを迫られている」と、価格に転嫁せざるを得ない実情を明かす。

ロシアのウクライナ侵攻など複合的な要因が絡み、足元の経済不安に改善の兆しは見えない。日本の自動車業界も下期以降、さらなる値上げに迫られる可能性が拭えず、消費の冷え込みに対する警戒感はいっそう高まりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月1日掲載