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2022年10月03日

ランプメーカー、次世代製品の開発強化 電動化や自動運転見据え

自動車用ランプメーカーが、次世代ランプの開発を強化している。小糸製作所はLiDAR(レーザースキャナー)メーカーの米セプトンへの出資を拡大した。スタンレー電気はホンダと次世代ランプシステムの共同開発で合意した。市光工業はミラー事業を売却して自動車用ランプに経営資源を集中する。自動運転や電動車で自動車用ランプの役割が変わることが予想される中、需要を先取りしたランプの開発競争が激化しそうだ。

自動車用ランプは車両のデザイン面で大きな影響があるほか、夜間の運転や、自動車の挙動を外部に知らせるなどの役割を持つ。これが自動運転車では車外とのコミュニケーションツールや、車両周辺のセンシングをサポートする機能も求められる可能性がある。また、市場拡大が見込まれる電気自動車(EV)では、航続距離に影響することから電力消費量の低減が求められる。

自動車の進化に合わせて、ランプも先進性が求められることから、ランプメーカーは自動車メーカーやLiDARメーカーと協業し、人材や技術などを持ち寄ることで次世代自動車に求められるランプを開発していく。

小糸製作所はLiDARを手がけるセプトンに出資しているが、協業関係を段階的に拡大している。2017年から中距離用LiDARを両社で共同開発しているが、今年6月には自動運転レベル3(システムの要請に応じて手動運転)の実用化を想定して、新たに短距離や長距離用のLiDARも共同開発することで合意した。

中距離用は23年にも実用化する計画で、両社の技術を組み合わせたLiDARを内蔵したヘッドライトユニットの開発でも協業する。

スタンレー電気はホンダと人材交流やノウハウを共有して次世代ランプシステムを開発する。ホンダは50年にすべてのホンダの二輪車、四輪車で交通死亡事故ゼロの目標を掲げており、共同開発する次世代ランプシステムは交通事故発生を防止する機能を持つものを開発する。部品の共有なども進め、コスト競争力の高いランプ開発につなげる。

事業の選択と集中で自動車用ランプ事業を強化するのは市光工業だ。グループのミラー事業を23年5月に英国のSMRオートモーティブミラーズUKに売却し、ライティング事業に経営資源を重点配分する。

同社では、電子部品を組み込んだヘッドランプモジュールを開発するなど、自動車用ランプ事業の付加価値向上を図っている。今後も電動化や自動運転によって自動車の「光をどう扱うか」(市光工業)が問われる中、電力消費量の低減が求められるEVや安全に寄与する機能を追加するなど、自動車用ランプを進化させていく方針。研究開発投資をランプ事業に集中投下して、競争力の高い製品開発を目指す。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月29日掲載