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2022年9月29日

自動車メーカー、急アクセル抑制機能設定相次ぐ 高齢者や若年層に訴求

自動車メーカーが「急アクセル時加速抑制機能」を相次いで設定している。低速域での異常な加速を抑制するもので、国内ではトヨタ自動車が2020年7月から搭載を始め、今年9月から他のメーカーでも設定を始めた。高齢者や免許を取得したばかりの若年層に向け機能を訴求し、ペダル踏み間違いによる事故の防止につなげていく。

急アクセル時加速抑制機能は、車の進行方向に障害物がない状態でアクセルペダルを意図せず踏み込んだときに加速を抑制するシステム。トヨタのシステムでは、過去の走行データを分析し、「踏み間違い推定アルゴリズム」を開発。そのアルゴリズムをシステムに生かした。意図しない急なアクセル操作による事故を防ぐ。

トヨタが20年7月に「プリウス」「プリウスPHV」に設定を始め、「クラウン」「ヤリス」「カローラ」「シエンタ」などにも広げている。今月にはマツダ、ホンダ、ダイハツ工業も同様の機能の搭載車を投入し、各社ユーザーへの浸透を狙う。

踏み間違いによる事故は、交通事故総合分析センターによると18~20年に9738件発生している。他社に先行して同機能の搭載を開始したトヨタによると、踏み間違いによる事故のうち7割は障害物を検知して停止する従来の検知システムで減らせるが、残りの3割は防ぎきれていなかったという。

普及してこそ意味のある安全機能だが、トヨタの場合、普及率は数%程度(22年4~8月データ)にとどまっているという。理由の一つがコストだ。

ホンダが23日に発売した「N―WGN(エヌワゴン)」のマイナーチェンジ車では、新機能の価格を5500円(消費税込み)に設定した。安価な価格を設定した狙いについて、ホンダ経営企画統括部安全企画部の髙石秀明エグゼクティブチーフエンジニアは「できるだけ多くの方に機能を使ってもらいたい」と話す。

トヨタ、マツダ、ダイハツは専用のスマートキーを用意しているのに対し、ホンダは既存のスマートキーを使用するため販売会社でのセットアップ費用だけで済む。新たなスマートキーは不要とし低価格を実現した。N-WGN開発責任者の諌山博之氏は「(装着率は)10%を狙っていきたい」と話す。

一方で、普及拡大に向けてはコスト以外の課題もある。特に、高齢ドイライバー向けに製品を販売する際に、「高齢者扱いされた」と気分を害するケースも少なくない。販売現場では、高齢ドライバーにアプローチする際のセールストークなどの工夫も必要となりそうだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月24日掲載