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2022年9月26日

地域交通需要、新たな視点で事業者支援必要 国交省検討会が提言

国土交通省に設置したアフターコロナに向けた地域交通の刷新・再構築や国の補助制度のあり方を探る検討会は、議論をとりまとめて同省に提言した。地域交通の維持・活性化に意欲的な地域に対するエリア一括の複数年化した支援制度の創設や、地域交通全体を利用者と事業者の両視点でコーディネイトできる人材の育成を目指した支援措置などの必要性を示した。

人口減少・少子高齢化の進展や新しい生活様式の定着で交通需要の回復は今後も見込みづらい。これまでの支援の継続だけでなく、地域や交通事業者に新たな取り組みを喚起する仕組みの導入が必要だと指摘した。

国交省にとりまとめを提言したのは、3月に同省に設置された「アフターコロナに向けた地域交通の『リ・デザイン』有識者検討会」。官民、交通事業者間、他分野との「協創型交通への転換」を軸に、今後の地域交通や国の支援のあり方について具体的方策などをとりまとめた。

国による支援制度については、単独の交通事業者または複数の交通事業者が共同して、自ら積極的にサービス水準の向上や運行の効率化を行うインセンティブ設計を創設する必要性を挙げた。現行の運行経費に対する支援は、単年度で系統単位の実績に応じて欠損額の補填を行うもの。「事業改善を行っても赤字欠損の額が減るのみ。交通事業者がさらなる顧客サービス向上などを意欲的に行うものとはなりづらい」(有識者)と指摘する。

また、交通事業者が金融機関からの資金調達を確保しやすくするための方策など、移動の付加価値向上に向けた投資を喚起する多様な支援メニューを「地域の実情に応じて選択できるようにしていくことが求められる」(同)という。

地域単位での持続的な質の高い交通サービスの提供を目指すためには、交通事業者への事業改善インセンティブ措置を含めて、系統単位ではなく地域一括で、複数年にわたる補助やその概算額確定が事前に行われるような制度を選択肢の一つとして導入すべきであるとも提言した。

既存の交通機関に加えて、超小型モビリティやシェアサイクルなどの新たなモビリティサービスも含めて利用者目線であらゆる輸送モードを一体的に捉えて、サービス提供者が相互連携して利便性の向上を図ることが求められる。

そのため、地域交通全体をニーズとシーズの両面からコーディネイトできる人材の育成を目指した支援措置を講ずるべきとの考えも示した。地方自治体の職員や有識者だけでなく、熱意を持って地域づくりに関わる他分野の人材や団体に、交通分野でのノウハウを提供し育成することも地域交通を継続する上で効果的だと指摘した。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月21日掲載