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2022年9月21日

投入相次ぐ新型SUV、個性で差別化 新コンセプトや幅広い価格帯

自動車メーカーが新型SUVで新たなコンセプトの設定や幅広い価格帯の商品展開などを進めている。輸入車を含めて車種が増加しているSUV市場で独自性を打ち出し、存在感を発揮するのが狙いだ。新型車の投入が相次ぐSUVは競争の激化が予想され、各社は他車との差別化を図ることで販売増につなげようとしている。

スバルは15日に世界初公開した新型「クロストレック」で、デザインや機能などでアウトドア性を高めた。現在、SUVのトレンドは都市型にシフトする傾向だが、都会からアウトドアまで幅広いシーンで活用できる多用途性を目指した。背景には、コンパクトやミッドサイズのSUVを取り巻く環境が激変し、SUV市場が拡大傾向から飽和状態へ移行して競争の激化が見込まれていることがある。

同日にオンラインで会見した中村知美社長は「活況を極めるSUV市場で強く存在感を発揮できる車にしたい」と強調した。

マツダは同日から販売を開始した「CX―60」で、ガソリン車の299万円からプラグインハイブリッド車(PHV)の626万円まで幅広い価格帯のモデルを展開する。PHVとマイルドハイブリッド車(マイルドHV)は、従来のマツダのSUVにはなかった500万円以上に設定した。

マツダは近年、400万円以上の価格帯の販売台数が倍増していることに着目。上級移行ニーズに対応することで、中型SUV「CX―5」の代替の受け皿となるだけでなく、輸入車ユーザーの獲得も見込む。

日産自動車は7月に発売した新型「エクストレイル」のコンセプトとして、伝統の「タフギア」(走破性)に〝上質さ〟を加えた。シリーズ式ハイブリッドシステム「eパワー」と可変圧縮比エンジン「VCターボエンジン」、電動駆動四輪制御技術「e―4ORCE(eフォース)」を搭載し、静粛性と快適性を向上するとともに、質の高い内外装などで上質感を打ち出した。

最廉価モデルでは従来型と比べ70万円以上高くなったが、日産では350万~449万円が過半数を占めるようになったSUV市場の環境変化を踏まえ、タフギアと上質を両立するコンセプトに設定した。

国内の乗用車市場ではSUVの販売比率が高まっている。日本自動車販売協会連合会(自販連、金子直幹会長)によると、2022年上期(1~6月)は乗用車に占めるSUVの比率が29・6%に高まり、統計開始後、初めてセミキャブワゴンを上回った。

各社が相次いでSUVの新型車を投入した結果だが、一方ではラインアップが拡充したことで他車と差別化を図りにくくなっている。各社は、さまざまな新しい要素を加えて独自性を打ち出すことで需要を取り込み、激化する競争を勝ち抜く方針だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月16日掲載