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自動車産業インフォメーション

2022年9月15日

自動車公取協、運転支援機能アンケート 作動条件「過信」「誤認」が半数以上

自動車公正取引協議会(自動車公取協、倉石誠司会長)は、会員事業者と消費者を対象に実施した「運転支援機能の表示(説明)に関するアンケート」の調査結果をまとめた。これによると、消費者が運転支援機能の作動条件を過信していたり、誤って認識している割合が、回答の半数以上であることが分かった。

ユーザーが正しく機能を理解し、安心して運転できる環境を提供するためには、新車や中古車の商談時や納車時に、販売店での丁寧な説明が必要となっている。

アンケートは、直近2年以内に運転支援機能などを装備した新車または中古車を購入した消費者300人と、同機能の搭載車が未保有かつ、今後1年以内に新車または中古車の購入意向がある消費者300人を抽出。10~70歳代の男女計600人を対象にウェブ方式で実施した。

新車または中古車を購入した消費者を対象とした質問のうち、運転支援機能について説明を受けて理解できたかという設問では、「理解できた」が89・9%、「理解できなかった」は9・6%、「その他」が0・4%だった。

納車時の説明時間は「15分以内」が45・4%、「30分以内」が20・0%と全体の約6割を占める一方、「説明なし(0分)」が28・6%にも及んでいる。ユーザーが正しく理解していることをスタッフが把握して説明を省略したと推測されるが、自動車公取協では「他の説明時間が長くなり、実際の現場で運転支援機能を丁寧に説明しているかは不明」とも指摘している。

運転支援機能がどのような状況で作動するかについて、購入経験者と未経験者の全体では「一定の条件下で作動するが、基本的には運転者が操作する必要がある」と機能を正しく理解している消費者は、「自動運転機能」で約3割。「衝突被害軽減ブレーキ」と「車線逸脱抑制装置(レーンキープ)」で4割弱など、他の運転支援機能についても、作動条件を正しく理解している消費者は半数以下だった。

一方、すべての機能について「あらゆる状況においても作動するので、運転者は操作する必要がない」、「必要に応じて運転者が操作する必要がある」と答えた消費者は購入経験者で約5割以上、購入未経験者は約6割以上に上った。機能を過信、もしくは誤認している消費者が一定数いることが裏付けられる。

また、購入経験者と購入未経験者に、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置などの機能を、何で知ったかを聞いたところ、トップは「テレビCM(コマーシャル)」が最も多く、次いで「テレビやインターネット、新聞などのニュースや記事」、「自動車販売店の営業スタッフの説明」の順で続いた。

テレビCMやニュースなどの影響により、消費者の過信や誤認にもつながっている可能性がある。自動車公取協ではディーラーや中古車販売店に向けて、作動条件などを丁寧に説明していくよう要望している。

また、自動車公取協では、「消費者は自動車メーカーの信頼感が高く、安心感もあるので、機能が優れていると認識しているようだ」と推測する。表現を信じ過ぎないよう、引き続き広告で〝機能には限界がある〟などの注意喚起の表示の徹底も求めている。

以前より、ディーラーや自動車関連団体は、店頭や外部イベントなどで、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする各機能の同乗試乗会も実施している。地域の交通安全教室などを通じて、運転支援機能の周知も行っている。消費者がさらに正しい認識を持つには、こうした取り組みでももうひと工夫が必要と言えそうだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月10日掲載