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2022年9月13日

政府 物流業界の「2024年問題」対策急ぐ、問題意識共有を

政府は、トラックドライバーの時間外労働が規制されることで生じる物流業界の「2024年問題」に対応した環境整備に取り掛かる。規制の影響を大きく受ける職種やルートの洗い出しを進めるほか、物流サプライチェーン(供給網)の見える化に取り組み、原油高などによる価格転嫁を荷主に行いやすい構造にする。上流から下流までの供給網全体で問題意識を共有することで、物流の最適化を目指す。

2024年問題とは、24年4月1日に施行される働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働時間が年960時間以内に制限されることを指す。

全日本トラック協会(全ト協、坂本克己会長)が3月に会員企業約1200社を対象に実施した調査によると、年960時間以上残業をしているドライバーが「いる」との回答は3割に迫り、時間外労働が一部で常態化している現状だった。電子商取引(EC)の拡大で宅配需要が伸長しており、物流網を維持するためにも供給側の健全化が必要になる。

この現状を打開するため、経済産業省、国土交通省、農林水産省が合同で検討会を設置。労働時間規制や燃料高といった足元の課題を踏まえ、24年問題を乗り切るための施策を検討する。長距離輸送やルート配送など、物流の種類に応じた現状と課題を洗い出し、24年問題でより影響を受けやすい領域を示す。

物流供給網の見える化も進める。物流業界は、発荷主から着荷主までの輸送ルートが複雑なため、運送事業者は原油高や人件費の高騰分の価格転嫁がしにくい状況にある。供給網に対する荷主の意識改善を進め、取引の適正化につなげていく。

同検討会は実験的な試みとして、自動車関連などの産業界、小売業界、荷物を保管する倉庫関連団体など多様な業界団体がオブザーバーとして参画している。各業界における物流網の実態をヒアリングするとともに、長距離輸送時のリレー輸送や中継拠点の設置などの先進的な取り組みを、業種を超えて共有できる体制も構築していく。

年内に中間取りまとめを実施し、来年中に最終取りまとめを行う。その結果を踏まえ、24年4月までに物流網全体に対して問題意識の共有と対応を求めていく考えだ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月7日掲載