会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2022年9月08日

使い方広がる軽自動車、けん引役は商用車 世帯当たり普及台数減少続く

国内市場で、軽自動車の所有形態に変化が出ている。全国軽自動車協会連合会(全軽自協、赤間俊一会長)がまとめた2021年12月末時点の軽四輪車の普及台数は前年同期比0・4%増の3149万8010台で、12万5128台増加した。新型車効果を背景に順調に台数を積み上げた。

一方、100世帯当たりの普及台数は、前年と比べて若干減少した。世帯数の増加ペースが普及台数を上回ったことが要因だ。1人世帯の増加や新しい軽の使い方が広がれば、さらに100世帯当たりの普及台数が変わる可能性がありそうだ。

全軽自協は、総務省の「住民基本台帳に基づく世帯数」(22年1月1日時点)と国土交通省の「自動車保有車両数」(21年12月末時点)をもとに、保有台数と普及台数を毎年算出している。最新の世帯数(外国人世帯数除く)は5822万6982世帯と、前年同期比で37万2095世帯増加した。

軽四輪車の昨年末時点の保有台数は3149万8010台で、前年同期に比べて12万5128台増加した。これを基に、昨年末の世帯当たりの普及台数を算出すると、1世帯当たりは0・54台で前年と変わらなかったが、100世帯当たりは54・10台で前年実績の54・23台からわずかに減少した。

100世帯当たりの普及台数は、1977年から2018年まで43年連続で伸長してきた。しかし、未婚率の増加や核家族化の影響により、単独世帯が増加していることから、19年から3年連続で微減となっている。都道府県別で見ると、長野県が103・4台で3年連続のトップ。

以下、鳥取県、佐賀県、島根県が100台を超えた。90台レベルの県は山形県、福井県、山梨県、新潟県、沖縄県、宮崎県、徳島県、和歌山県の8県。最も低かったのは東京都の12・0台だった。

足元で軽の普及のけん引役となっているのは、商用車だ。コロナ禍を受け、密を避ける移動空間として車が重宝されるようになっている。テレワークに加え、旅行やソロキャンプに車を活用するユーザーが増えている。こうした中で、1人または2人での利用を想定した設計の軽商用車に支持が集まっているとみられる。

メーカー各社の商品拡充の動きも、こうした流れを後押しする。ホンダ「N―VAN(エヌバン)」、ダイハツ「アトレー」、スズキ「スペーシアベース」など改良や新型車投入が目立つ。

全軽自協が1日に発表した今年8月の軽自動車販売台数でも、商用車は3万1140台と2カ月連続で増加した。商用車のうち、エヌバンとスペーシアベースが分類されるボンネットバンは前年同月比77・5%増の3278台。アトレーやハイゼット、エブリイなどのキャブオーバーバンは同16・8%増の1万4820台と3カ月連続のプラスで、大きな伸びを示した。

軽商用車の人気は、税金など維持費の安さも魅力にあるとみられる。若い世代が初めて買う車や趣味を楽しむための増車など、多くのユーザーから熱い視線が注がれている。軽乗用車の購入を希望していたユーザーが移行したケースもあるとみられ、今後も軽四輪車の普及を支えていきそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月3日掲載