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2022年8月31日

自動運転車等の世界市場30年に7900万台 21年実績の2倍、矢野経済予測

矢野経済研究所(水越孝社長、東京都中野区)は、先進運転支援システム(ADAS)と自動運転車の世界市場が2030年に7915万台と、21年実績の約2倍に増える予測を発表した。30年に世界の新車販売台数全体の76・9%にADAS・自動運転システムが搭載される見通し。

同社が今年1月から6月にかけて自動車メーカーやカーエレクトロニクスメーカー、センサーメーカーなどを対象にヒアリングするなど調査して、ADAS・自動運転システムの世界搭載台数を予測した。

自動運転のレベル別では、30年に最も搭載台数が多いと予想するのがレベル2(高度な運転支援)で6015万台とADAS・自動運転システムの76%を占める。車間距離制御装置(ACC)や車線維持補助装置(LKS/LKA)を同時に作動させる運転支援機能の設定車両が拡大するのに加え、車両に搭載するフロントカメラやレーダーなどの高機能化によって市場が拡大する見通し。

次いで多くなると予測するのが現在、最も搭載数が多いレベル1(安全運転支援)で、30年に1202万台と予想する。レベル1は23年にはピークアウトし、24年以降、レベル2にシフトする見込み。

レベル3(システムの要請に応じて手動運転)では、21年にホンダが「レジェンド」が世界で初めて実用化、100台限定でリース販売した。今後のレベル3搭載車について、30年ごろに主要自動車メーカーがフラッグシップモデルを中心に設定すると予想、30年は21年実績の100台から600万台以上と大幅に増えると予測する。

27年以降、自動車メーカー各社が新しいE/Eアーキテクチャ―や、電気自動車(EV)専用プラットフォーム、OTA(オーバー・ジ・エア)を実用化し、上級クラスのEVを中心にレベル3市場が形成されると想定する。

レベル4(限定地域での自動運転)は、中国や北米でロボタクシーなどで先行している。日本では、国が25年度をめどに40カ所で自動運転レベル4のサービスを社会実装する目標を掲げている。こうしたMaaS(サービスとしてのモビリティ)向けの車両でレベル4が実用化される見通しで、量産車への搭載は30年ごろから徐々に増えていくと見込む。30年の予想搭載台数は73万台。

一方、21年のADAS/自動運転システムの世界市場は、前年比17・5%増の4098万台だった。レベル1が全体の61%の2517万台となった。レベル2は1581万台で、このうちハンズオフ機能付きのシステムが87万台だった。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月27日掲載