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2022年8月22日

部品メーカー各社 子ども・学生向けにイベント、ものづくりの楽しさ体験

部品メーカー各社が夏休み期間中、ものづくりの楽しさを子どもや学生に体験してもらうためのイベントに力を入れている。自動車技術会(自技会、大津啓司会長)は自動車メーカーや部品メーカーの協力を得て「キッズエンジニア2022」を開催。次世代自動車の開発に必要なコンピュータープログラミングなどを体験できる企画を実施した。

日本ミシュランタイヤやNTNなどもワークショップを開き、独自技術に触れる場を提供した。学校では体感できないものづくりの現場に触れてもらうことで、エンジニアの卵を育てている。

7月29、30日の2日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で実施したキッズエンジニアには2日間で2720人の小学生と家族らが参加した。自動車メーカーや部品メーカーのブースには、各社の現役エンジニアが講師となって、自動車に関する技術やものづくりの楽しさをレクチャーした。

アイシンは自動走行ロボットの製作を通して、設計から試作、評価、報告までの開発者のワークフローを体感できるプログラムを実施した。ジヤトコは輪ゴムとプーリーを使ったミニカー作り体験を通じて、主力事業の変速機の仕組みを学んでもらった。完成したミニカーを使って子どもらは坂道のあるコースの完走とスピードを競った。

軸受製品などを手がける大豊工業は「摩擦」を知ってもらう取り組みとして、水入りの金属筒とロープをこすり合せ、筒内の水温を上げるプログラム、オイルシール大手のNOKはドライブゲーム中の脳波を測定し、自分の性格を分析するプログラムをそれぞれ実施した。

一方、日本ミシュランタイヤは、太田サイト(群馬県太田市)の地元小学生を招いて「デジタルものづくり体験ツアー」を実施した。3Dプリンティング(積層造形)設備を完備する「AMアトリエ」で、設備の見学や、CAD(コンピューターを使用する設計)のデモンストレーションを行った。

リバースエンジニアリングに使用しているスキャニング技術体験では、スマートフォンを使って小学生の姿をパソコン端末上に取り込んだ。画面上に自分自身の3Dデータが映し出された小学生は驚いていた。

ベアリング2社も学生や親子向けのイベントを実施している。NTNは親子でベアリングについて学ぶことができる「NTN回る学校」を開いた。同社の社員が講師となってベアリング組み立て体験や回転台と鉄琴を組み合わせてオリジナルのメロディーとリズムを作るイベントなどを実施した。

日本精工は「NSK夏のリコチャレ(理工チャレンジ)2022」をオンラインで実施する予定だ。ものづくりに関心のある高校生以上の女子学生が対象で、同社のエンジニアとの交流会などを実施する。

NTN、日本精工ともベアリングの仕組みや摩擦低減技術などを紹介しながら、ものづくりの楽しさや製造業への興味を喚起することが狙いだ。部品メーカー各社が子ども向けの体験イベントに注力する背景には、職人の高齢化やものづくりに携わる専門人材の減少への危機感がある。

積層造形といった新たな製造方法は、これまでになかった製品を世の中に生み出せる可能性がある一方で、これを活用するためには、技術に精通した人材育成が欠かせない。少子化対策を含め、日本のものづくり力を強化するため、まずは手に触れて体験し、興味を持ってもらうことが肝要のようだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 キッズ・小学生,大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞8月16日掲載