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2022年8月10日

秋田県 自動車関連企業、SDGsの取り組み広がる

秋田県(佐竹敬久知事)はSDGs(持続可能な開発目標)達成を目指し、2021年9月に「秋田県SDGsパートナー登録制度」を開始した。県内の企業や団体を対象に、SDGsの取り組みを宣言してもらうもの。この内容はホームページで公開し、県民に周知を図るとともに、登録者の連携や価値向上につなげる狙い。同制度には、ディーラーや整備事業者、損保会社など自動車関連企業も多く参画し、持続可能な地域の発展に向けた施策を加速させている。

秋田三菱(佐藤功社長)は、「交通事故削減」「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」「災害対策」に焦点を当てた施策を宣言に盛り込み、電動車やドライブレコーダーを活用して課題解決を図る計画。同社はSDGs宣言に取り組む以前から、電動車による自治体の防災力強化を行っていた。

22年7月には県内10例目となる八峰町との防災協定を締結したほか、25年までに14市町村まで拡大する計画を立てている。今月には自治体との防災訓練を予定しており、電動車からの給電デモンストレーションを行う。

電動車の普及で脱炭素につながる活動にも力を入れる。SDGsパートナーに登録している企業や団体に電動車を提案し、普及を図っている。カーボンニュートラル達成への取り組みは今後、一層高まる見通しで、社用車を環境負荷の少ない電動車へ切り替えるケースも増えている。

提案を行う中で三浦翔一郎専務は「充電器を備えている企業や団体は多くない。複数台導入した際の効率的な運用方法を蓄積し、提供することで後押しができるのではないか」と見通しを示す。

同社は、県内の少子高齢化による人口減少や再生可能エネルギー由来の電力供給に取り組んでいる点を、日本が直面する課題のモデルケースと捉え、SDGsの活動を通じて解決を図っていく考えだ。

日産サティオ秋田(児玉純一社長)では、①残業時間の削減と年次有給休暇取得率の引き上げ、②「健康優良法人」認定の継続的な取得、③電気自動車及び電動車の販売促進を掲げる。SDGs達成に向けての指針を明文化し、全社で取り組む中で課題を洗い出すことで改善を図っていく。現在は、社員の働きやすい環境づくりに力を入れている。

児玉社長は「週末に休みが取得できないことを理由に、若手が離職するケースがあり、その点を解消したかった」と説明する。社員が家族行事へ参加できる体制を整えてワークライフバランスに配慮し、メリハリのある働き方で効率向上につなげる。

そのために、21年度から月次の店舗定休日を2日増やした。有休は「上司が取得することで、権利を使用しやすい雰囲気が生まれる」(児玉社長)ことから、役員やマネジメント職に理解を求め、積極的に休暇を取得するよう呼び掛けている。

また、販売の現場では、有休を使用した際の顧客フォローに対応するため、店舗をチームとして運営する意識付けを行い、互助の文化を根付かせている。サービス部門では、作業時間短縮のための積極的な設備投資も行う。

間接業務部門では、デジタルを活用した業務効率化に着手した。22年度内を目安に、勤怠管理システムを導入してペーパーレス化を行い、業務のリードタイムを削減する。児玉社長は取り組みを通じて「親が子どもに薦められる企業を目指したい」と語り、施策の拡大に意欲を見せる。

損害保険会社も取り組みを進める。東京海上日動火災保険秋田支店は、事業継続計画(BCP)セミナーによる災害対応力の強化や代理店のパートナー登録を支援し、企業がSDGsに取り組むための体制づくりに協力している。

パートナー制度は現在700を超える企業・団体などが参加する。取り組みを発信することで、学生からの問い合わせにつながったケースもあり、企業の注目度を高める効果も期待できる。県は、引き続き参加を呼びかけ、地域課題の解決を進めていく。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞8月3日掲載