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2022年8月01日

国内キャンピングカー市場 生活様式の変化を追い風に活況

国内キャンピングカー市場が盛り上がりを見せている。日本RV協会(荒木賢治会長)の調査によると、2021年のキャンピングカーの販売台数は前年比7%増の約8600台で、累積保有台数も13万6千台となった。

新型コロナウイルスの感染拡大により、生活様式が変化したことで、自動車の利活用が加速していることが追い風になったとみられる。架装事業者は現在、多くの受注残を抱えている状況となっており、今後もさらなる市場拡大が期待できそうだ。

同協会がまとめた「キャンピングカー白書2022」で明らかにした。国内キャンピングカー保有台数は16年に10万台を突破して以降、増加幅が高まり続けている。同年では前年に比べて約6千台が増えたが、20年では8千台、21年では8600台と確実に伸長している。

カテゴリー別にみると国内で生産されたキャンピングカーのうち、21年は「キャンピングトレーラー」が前年比70・2%増の97台と、伸び率が大きかった。このタイプは移動せずに駐車場などに固定して利用することが可能。同白書では災害時のシェルターや感染症対策の隔離施設として利用されていることも考えられると分析している。

また、「8ナンバー以外の軽キャンパー」も同49・7%増の1102台に増加した。これらは、車中泊の設備のみとするなど改造範囲が狭い車両を指す。コロナ禍で増えているリモートワーク用に、こうした手軽なモデルを購入するユーザーが増えていると見ている。

市場全体が好調な一方で、キャンピングカーで一定の人気を有してきた輸入車は減少傾向が目立つ。21年の新車輸入台数は同9・1%減の627台にとどまった。

輸入の中心となっている欧州において、コロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)で新車供給が減速したほか、物流が停滞したことなどが要因となった。しかし、ある架装事業者によると「国産車にはない大きな車格があり、(輸入キャンピングカーは)根強い需要がある」としており、供給問題が回復すれば日本への出荷も回復しそうだ。

キャンピングカー業界の足元の課題は、納期の長期化だ。アンケート調査によると受注から納車まで、7カ月~1年以内と回答した企業が40・8%、1年1カ月~2年以内とした企業が35・7%にのぼった。国産車も半導体や部品の不足などで完成車生産に支障が出ている。さらに、人気の高まりから注文の増加に架装事業者側が対応しきれないなど、複数の要因が重なっているという。

顧客満足の向上のほか、業界各社のビジネスチャンスの拡大につなげるためにも、こうした課題の早期解決が求められそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月27日掲載