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自動車産業インフォメーション

2022年7月28日

自動車メーカー、新車の受注を相次ぎ停止 製販ともに懸命の工夫

自動車メーカーが新車の受注を相次いで停止している。日産自動車の電気自動車(EV)「アリア」やトヨタ自動車の「ランドクルーザー(300系)」など長納期化が続く人気車種のほか、マツダの「マツダ3」など商品改良を控えたモデルなどが対象だ。メーカーは半導体不足の中でも生産の優先度を判断するなど工夫を凝らし、ディーラーも在庫車の販売に力を入れ、製販ともに対応を進めている。

日産は7月末でアリアのベースグレード「B6」(2WD)と「フェアレディZ」の受注を一時停止する。半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大による部品調達難などで長納期化が続いており、受注を継続した場合、明確な納期を回答できなくなると判断した。アリアは今夏以降に発売する上位グレードの「B9」や4WDモデルへの生産シフトもあり、B6(2WD)の受注を止める。

東北地区の日産系ディーラーの販促担当者は「市場投入から間もなく、これから提案活動を加速するタイミングだっただけに残念」と受注停止を受け止める。アリアの納期は1年以上先の見込みだが、「ユーザーからの引き合いは強い」と7月末までは受注活動を継続する方針だ。

ホンダは、「ヴェゼル」の上位グレード「PLaY(プレイ)」の受注を2021年10月から停止している。半導体不足の影響で、受注再開のメドは立っていない。PLaY以外のグレードでも納期がガソリン車で約4カ月、ハイブリッド車(HV)で半年以上と長期化している。

西日本のホンダ系ディーラーの社長は「在庫車の売り切りや中古車の提案、車検などサービス入庫に力を入れる」とバリューチェーンを強化して乗り切る構えだ。 

トヨタはランドクルーザー(300系)とレクサスの「LX」と「NX」の受注を止めている。ランドクルーザーは現在、納期が4年以上と長く、このまま受注を続けた場合、納車の時期に一部改良など仕様が変更となっている可能性を踏まえて判断した。

マツダは商品改良を控える一部車種で現行モデルの受注を停止した。対象はマツダ3と「マツダ6」「CX―30」「MX―30(EVモデル)」「マツダ2」のモータースポーツベース車「15MB」グレードの5車種に広がっている。

マツダの他にも、商品改良を控えた車種の受注を停止するタイミングを従来に比べ前倒しする傾向が強まっている。ディーラーにとっては販売車種が減るため、新車・中古車・サービスを合わせたバリューチェーンの強化が重要となりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月23日掲載