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2022年7月27日

整備工場のタイヤメーカー系ショップ増加 重要度増す販路

タイヤメーカーは、整備事業者が運営する系列ショップの店舗数を増やしている。ブリヂストンの「カーケア&タイヤショップ(CTショップ)」は、2020年に858店と3年前から131店拡大した。新型コロナウイルスの影響で増加ペースは落ち着いているものの、今年5月末時点では877店と着実に増加している。

横浜ゴムの「タイヤラウンジ」も年15~20店の勢いで拠点が増えており、今年6月末で221店となった。車検や点検などで顧客と密接につながる整備事業者はタイヤの重要な販路となっており、今後もネットワークの拡充に取り組む方針だ。

タイヤメーカーの販売戦略で重みが増す整備工場系の販売チャンネルを支えるため、各社は集客や顧客対応力の向上につながる施策を充実させている。系列販売会社などを通じて、タイヤを顧客に訴求するツールの提供に加え、タイヤや関連商品の知識、接客力を高める人材の育成などを行っている。

もともと、こうした店舗では整備技術を有したスタッフが顧客対応に当たるケースが多い。こうした人材がさらにタイヤの知見を高めれば、顧客への提案力が増す。実際、「中高価格帯の販売割合が一般の整備工場より多い」(本部担当者)と、高い効果を上げている。

タイヤメーカーのショップとなることは、整備事業者側にもメリットが大きい。「整備工場でタイヤを販売していることを、一般のユーザーには意外と知られていない」(同)実情があるという。

こうした事業者がタイヤショップの看板を掲げれば、整備や車両販売などの主力事業だけではなく、タイヤ販売にも力を入れていることを広く顧客にアピールできる。「タイヤに強い店」であることのイメージが地域のユーザーに浸透すれば、販売機会も増えて整備工場の収益拡大にもつながる。

また、ユーザーの安全を守る効果も期待できる。タイヤの大きな販路の一つであるガソリンスタンド(給油所)は20年度末で全国約2万9千店と、1994年のピーク時に比べて半数以下となっている。給油所ではタイヤの空気圧低下や損傷などを早めに発見して対処することで、重大な事故を抑制する役割も担っている。

給油所の店舗数は今後、大幅な増加が見込めない。こうした中で、全国に数多く存在する整備工場が日常的にタイヤの安全を守る担い手となれる可能性は高そうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月23日掲載