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自動車産業インフォメーション

2022年7月22日

納車遅れで負担増す販売現場 一部系列では改善の兆しも

新車の納期長期化が続いていることにより、販売現場での負担が拡大している。納車を待ち続けてきたユーザーの中には、注文をキャンセルする動きが出ている。これにとどまらず、〝我慢の限界〟とディーラーにクレームを入れるユーザーも目立ち始めた。

あるトヨタ自動車系列ディーラーの役員は「CS(顧客満足)の成績が優秀な社員にまでクレームが入り始めた」とし、社員へのケアに努めているという。一方、一部の系列では「(納期のめどが)若干改善してきた」との声も上がり始めた。光明が見えつつある中で、販売現場を守るスタッフの苦労はもう少し続きそうだ。

半導体不足をはじめ、部品の原材料の供給体制など世界的な情勢不安など想定外の事情が発生し、新車生産に深刻な影響を与えている。車種によっては新車の納期が伸びており、人気モデルはさらに厳しい状況となっている。昨年、全面改良したトヨタ「ランドクルーザー」はすでに、受注停止をホームページで公表。これ以外の車種でも納期を明確に示せないモデルが目立っている。

トヨタをはじめ、メーカー各社は情報提供を強化するなど対策を打つが、最前線で顧客対応に当たる販売店の営業スタッフの的確な対応がユーザーのつなぎ止めにつながっているのが実情だ。

しかし、こうした事態が長引いていることで、ユーザーの不満も高まっている。あるトヨタ系ディーラーの販促担当者は「1年以上待つ顧客などで、環境変化や納期が早い車種を購入することを理由にキャンセルが出ている」としている。

また、新車が間に合わずに、ユーザーが〝つなぎ〟で中古車を購入するケースも増えている。しかし、新車供給の遅れが下取車の減少も招いている。「中古車すらなくなりそうで、早く何とかしてもらいたい」(トヨタ系販社代表者)と悲痛の声も上がっている。

一方、積み上がる受注残は根強い需要の裏付けとも言える。足元の難局を何とか乗り越えられれば、新車の登録・届け出、中古車、サービスなど流通ビジネスが一気に好転する可能性もある。メーカー各社も全力で事態打開に動いており、今後の新車供給が回復していけば、ディーラー各社のこれまでの顧客対応の努力が実を結んでいきそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月16日掲載