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自動車産業インフォメーション

2022年7月21日

国交省「日本版MaaS推進・支援事業」 22年度は6自治体で産学官連携

国土交通省は、2022年度の「日本版MaaS推進・支援事業」で、北海道芽室町や群馬県前橋市など6自治体で産学官が連携して行う交通サービス事業を選定した。MaaS(サービスとしてのモビリティ)の取り組みで必要なシステム構築費用など補助対象経費を最大2分の1支援する。移動の利便性を高めるMaaS事業の社会実装を後押しすることで、公共交通の高度化や地域課題の解決につなげる。

22年度の同事業における選定地域は、北海道芽室町、群馬県前橋市、神奈川県横須賀市など、神奈川県三浦半島、三重県菰野町、九州全域。各地域の参画者は、自治体をはじめ、鉄道、航空などを含む交通運輸事業者、大学、IT関連事業者など多岐にわたる。

支援事業の要件は、MaaSの提供で解決に寄与できる地域の課題が明確であることなど全4項目。中でも今回は、交通手段と観光、医療、教育、子育て、防災・減災などの交通分野以外のサービスとがデータ連携で一体的に提供されることを要件に加えたことが特徴で、地域課題の解決に寄与することを目的としている。

九州地域では、トヨタ自動車グループが提供するMaaSアプリ「マイ・ルート」を未導入県に展開。九州を一つのアプリで網羅し、シームレスなサービスの提供を目指す。交通事業者をまたいで利用可能なデジタルチケットの設定を行い、アプリによる多様なモビリティ利用につなげる。県をまたぐ広域MaaSで同一プラットフォームまたはアプリ基盤を導入するのは全国でも珍しい取り組みだ。長崎県を皮切りに今夏から始める。

観光施設入場券や特典、商業施設クーポンなど観光・商業など地域コンテンツとの連携も図りながら、新たな需要創出を目指す。九州が一体となった運営組織を設立し、MaaSの社会実装・持続可能なスキームの構築を進める。

また、北海道芽室町で10月から来年2月まで実施を計画するMaaS事業は、乗合型オンデマンド交通の運行サービスを運行する。ウェブと電話によるデマンド予約を高齢者でも簡単に利用できるサービスを新たに開発し、予約タブレットを利用家庭に配布する。口座引き落とし型の運賃形態でのサービス提供も計画する。

商業施設との連携による買い物支援サービスの提供をはじめ、市街地で開催される介護予防・認知予防などの活動、娯楽などを移動の目的化させることで移動機会を創出し、高齢者ら地域住民の健康維持・促進につなげる狙い。

国交省は、関係府省庁とも連携し、MaaSの全国普及に取り組んでいる。19年度には、全国のけん引役となる選考モデルとして19事業を選定。20年度は地域特性に応じたMaaSの実証実験を行う36事業を、21年度にはMaaSの社会実装に向けた12事業を選定・支援している。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月16日掲載