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自動車産業インフォメーション

2022年7月14日

22年3月末の自動車リース保有台数 個人リース比率、過去最高12%

自動車リース市場で、個人リースの割合が伸長している。日本自動車リース協会連合会(JALA、上谷内祐二会長)が6月下旬までに公表した3月末時点の車種別・リース車保有台数によると、国内のリース車保有台数に占める個人リースの比率が前年比1・5㌽増の12・6%となり、統計開始以来、過去最高を記録した。

個人向け保有台数自体も同13・9%増の49万8650台と大幅な伸びをみせた。個人向け商品はリース事業者だけでなく、自動車メーカーやインポーターも攻勢を強めており、今後も市場拡大が進みそうだ。

JALAがまとめた会員263社の2022年3月末時点のリース車保有台数(無登録車除く)は同0・5%増の394万9839台だった。11年連続で前年超えしたものの、全体の伸び率はわずか。好調な個人リースを除けば、同1・2%減の345万1189台と2年連続で前年を割り込んだ。

コロナ禍を受け、企業や自治体などでリモートワークの導入拡大やコスト削減を進める中、遊休状態となったリース車両を減車する動きが広がったことが要因の一つと見られる。一方で個人リースは2桁の伸び率となっており、全需のプラス確保にも貢献した格好だ。

リース事業者は成長が見込める個人リースを新たな収益の柱に育てる施策を打っている。19年に個人リースに参入した三菱オートリース(中野智社長、東京都港区)は今年4月、電動車専用プランを追加するなど商品力の拡充に取り組む。

住友三井オートサービス(佐藤計社長、東京都新宿区)も資本関係を強化したセディナオートリース(近藤篤哉社長、同)と、個人市場のさらなる開拓に力を入れている。各社のこうした取り組みにより、17年に約20万台規模だった個人リース車の保有台数が、この5年で2倍超に膨らむ結果となった。

自動車メーカーやインポーターも、従来の新車販売に代わる売り方として、サブスクリプション(定額利用)サービスなどによる個人リースの開拓に注力している。トヨタ自動車は新たな電気自動車(EV)「bZ4X」の販売をサブスク「KINTO(キント)」のみとした。キントの利用率は足元で1、2%にとどまるが、付加価値を高めるなどし、早期に10%超に引き上げる方針だ。

ステランティスジャパン(ポンタス・ヘグストロム社長、東京都港区)も新型EV「500e」をリース販売のみとし、「1%未満」(牛久保均営業部セールスダイレクター)にとどまるリースの存在感を高める考え。新たな売り方を取り入れやすいEVがさらに個人リースの市場規模を押し上げる可能性がある。

また、EVは車載電池の劣化による残存価値の低下、アフターサービス体制など、いまだ不透明な要素が多い。契約期間中のメンテナンスを付帯することもできるリースは、EVを検討するユーザーの不安払拭につなげることもできる。リース会社にとっても契約満了後の車両を確実に回収でき、中古車としての流通価格も管理しやすくなるメリットもあり、今後も新たなモビリティ向けのリース商品開発が活発になりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月28日掲載