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自動車産業インフォメーション

2022年7月07日

部品メーカー、環境悪化も事業拡大の好機 デロイトトーマツ調査

「自動車部品業界を取り巻く環境は悪化しているが、事業拡大のチャンスもある」─。デロイトトーマツグループ(木村研一CEO、東京都千代田区)は自動車部品メーカーの動向について、リスクと今後の見通しを発表した。国内の自動車部品メーカーは半導体不足に加え、二酸化炭素(CO2)排出量削減や地政学リスクに直面するものの、同社は「逆風だが(事業拡大の)オポチュニティもある」と予測する。

自動車業界各社の経営戦略支援などを手がけるコンサルタントとして業界の動向をまとめた。半導体不足は、問題解消に向けて車載向けを増産する動きがあるものの、通信機器向けなどの付加価値の高いハイエンドの半導体の生産を優先、車載向けの需給ひっ迫は続くと予測する。

自動車メーカーが導入している必要な部品を、必要な時に必要な量だけ調達する「ジャスト・イン・タイム」がサプライチェーンの柔軟性を奪っていると指摘、半導体などの在庫を増やすなど、見直される可能性がある。

また、カーボンニュートラル実現に向けた自動車の電動化の進展状況は、地域差が大きいとする。欧州や中国で内燃機関の規制が強化されるが、北米や日本はハイブリッド車などの内燃機関を搭載した低燃費車の普及を進める。このため、取引先自動車メーカーの電動化戦略が部品メーカーの経営にも大きな影響を及ぼすと予想する。

ロシアによるウクライナ侵攻など、地政学リスクも重大な懸念材料の1つとなっている。現地の自動車需要の減少やワイヤハーネスなどの供給停止で、小型車のグローバル生産台数は、ロシアの侵攻前の予測から約2500万台の減少を見込む。

また、相次ぐサイバー攻撃への対策も求められるなど、国内の中小サプライヤーを取り巻く経営環境は厳しい。ただ、コロナ禍や地政学リスクによる物流の混乱が好機にもなり得るとする。

同社の渡邊耕太郎パートナーは「中国一極集中からの揺り戻しもあり、きめ細やかに(部品を)供給できるかが重要。危機ばかりではない」とし、特に成長が見込まれるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)分野の事業が成長すると予測している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月18日掲載