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自動車産業インフォメーション

2022年6月29日

自動車メーカー PHVラインアップ拡充着々と、需要拡大に期待

国内市場でプラグインハイブリッド車(PHV)の注目度が高まっている。マツダが今秋、発売予定の新型SUV「CX―60」に同社初のPHVを設定し、国産車のPHVのラインアップが増える。充電ができるハイブリッド車(HV)であるPHVは、EVのように航続距離や充電の不安がない。

災害時に電源として活用できることも利点だ。登録乗用車に占めるPHVの比率は2%台だが、カーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)達成に向けた選択肢の一つとして需要が拡大する可能性がある。

PHVの5月の販売台数は前年同月比95・3%増の2953台と、登録車の電動車の中で最も大きな伸びを示した。登録乗用車市場に占めるPHVの割合は前年同月から1・3㌽上昇し、2・2%となった。

PHVの市場をけん引しているのは三菱車だ。昨年12月に発売した新型「アウトランダーPHEV」の効果により、三菱自動車のPHVの販売台数は前年同月比402・1%増の1943台と大幅に増加した。

需要は拡大基調にあるが、これまでトヨタ車と三菱車のみだった国産のPHVにマツダ車が加わることにより、さらに加速しそうだ。マツダはCX―60に直列4気筒ガソリンエンジンとモーターを組み合わせた「e―スカイアクティブPHEV」を設定した。

48㌾マイルドハイブリッドシステム搭載の「e―スカイアクティブD」に比べ、最廉価グレードの車両価格は33万5500円高いが、「補助金を受ければマイルドハイブリッド車より実質購入金額が安くなるため、引き合いが強まるかもしれない」とマツダ関係者は期待を寄せる。

マツダは給電機能を備えたPHVの販売方法として、災害時に非常用電源として活用できる利点を打ち出す。バッテリー残量が不足してもエンジンでの走行が可能なPHVは、EVと比べ充電にかかる手間も少ないことを合わせて訴求する。

トヨタ自動車は今秋に発売予定の新型レクサス「RX」にPHVモデル「RX450h+」を設定した。レクサス初のPHV「NX450h+」に続くもので、2035年の100%EV化に向けたレクサスの電動化戦略のコアモデルとなる。

国際エネルギー機関(IEA)の発表によると、21年のPHVの世界販売は192万575台と、前年に比べ2倍近く増加した。国内市場でもPHVのラインアップが広がることで需要拡大が見込まれる。現状では新型車投入が相次ぐEVが脚光を浴びているが、PHVもカーボンニュートラル実現に向けた選択肢の一つとして存在感を発揮しそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月23日掲載