2022年5月18日
電動バイク交換式電池「ガチャコ」 二輪車4社とエネオスがタッグ
国内二輪車メーカー4社と石油元売り大手が交換式電池の普及に向けてタッグを組んだ。大容量電池を搭載しにくい二輪車を電動化する手段として期待される交換式電池だが、実用化に向けては交換ステーションの整備や事業モデルの確立が課題となる。
二輪4社は、インフラ整備のノウハウを有するとともに、電池を循環利用するための独自のプラットフォームも手がけるエネオスホールディングスと協業し、交換式電池の普及への道筋をつける考えだ。
ホンダ、ヤマハ発動機、スズキ、カワサキモータースとエネオスHDは4月、新会社を設立した。社名は「ガチャコ」。〝ガチャっと交換できる〟交換式電池のシェアリングサービスとインフラ整備を手がける会社だ。エネオスHDが51%、ホンダが34%、残りの3社が5%ずつ出資する。
ガチャコはまず2022年秋から交換式電池のシェアリングサービスを東京都など大都市圏で提供する。シェアリングする電池は、二輪車メーカー4社が策定した共通規格に準拠するホンダの「モバイルパワーパックe:」。
今後はヤマハ発、スズキ、カワサキも同規格に準拠した電池を使用できる二輪車を商品化する見通し。現在はホンダのビジネス用バイクだけしか商品化されていないため、ガチャコはまず法人向けにサービスを展開する。料金やプランは検討中だが、同社の渡辺一成最高経営責任者は「ガソリンと同じ価格感で利用できるようにする」とイメージを明かす。
シェアリングサービスの提供と同時に、ステーションの整備も進める。設置基数は未定だが、22年度に200台分の電池をまかなえるだけのステーションをエネオスHDの系列給油所や駅前などに設置。23年度内には1千台分まで設置数を拡大する計画だ。
メーカー4社では19年4月に交換式電池の仕様統一に向けた検討を開始。21年3月に標準仕様をまとめた。今後、この仕様に準拠した対応車種は順次増えてくる。一方、これまで課題の一つになっていたのがステーションの整備だった。
こうした意味では今回、全国1万2千カ所以上にガソリンスタンドを展開するエネオスHDと協業できたメリットは二輪車陣営にとって非常に大きい。また、エネオスHDにとっても二輪車メーカーとともに、交換式電池の普及を進められれば、先細りが見込まれる燃料販売に置き換わる新しいビジネスを創出できる。
今回のシェアリングサービスでエネオスHDは、消耗した電池のリサイクルも手がける。二輪車メーカー4社との関係を強化し、「BaaS(バッテリー・アズ・ア・サービス)プラットフォーム」と呼ぶ電池循環の仕組みを確立していく考えだ。
カーボンニュートラルに向けて二輪車業界にも訪れる電動化の波。ただ、サイズや価格帯も異なる四輪とは違ったアプローチが求められる。ガチャコの設立は、交換式電池の実用化に向けた大きな1歩となりそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞5月7日掲載