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2022年4月21日

三菱ふそう、在宅勤務の定着に本腰 アフターコロナ見据え働き方改革加速

三菱ふそうトラック・バスは、在宅勤務の一層の定着に向けた対策を進めていく。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に在宅勤務の取り組みを強化し、昨年からは一部部署でリモートワークを前提とした勤務形態に切り替えた。「アフターコロナ」も見据え、働き方改革を加速させていく考えだ。

同社は2014年から製造現場で働く直接員と販売に携わる営業職を除く社員を対象に、所定労働時間の50%を上限とする在宅勤務制度を導入した。国内の自動車メーカーとしては初めての試みだったというが、在宅勤務するためには上司の許可が必要であるなど、オフィスへの出社が前提の制度だった。

状況が一変したのは20年の新型コロナウイルスの感染拡大だ。多くの企業が在宅勤務の導入を余儀なくされ、同社も制度を拡充。営業職を含む間接員5千人を対象にした「モバイル・ワーク制度」を同年6月に開始した。

新制度では在宅勤務の上限を撤廃し、社員それぞれが柔軟な働き方を選択できるように変更。在宅勤務時の電気代などの費用を支援する「モバイルワーク手当て」も支給し、社員の負担を軽減した。

さらに昨年1月には本社の間接員2千人を対象に、リモートワークを前提とする「モバイル・ワーク2・0」を導入した。出社日を週2回までとし、3回以上出社する場合は上長の許可を必要とする制度に切り替えた。通勤定期券代の支給も廃止し、出社時はその回数に応じて通勤交通費を支払う。リモートワークの定着に向け、制度を強固なものにした。

社員の反応はおおむね良好だ。社内で行ったアンケート調査によると、8割以上の社員がリモートワークの取り組みを評価すると回答した。例えば、子育て世代の社員からは幼稚園や保育園などへの送り迎えなどが柔軟に行えるといった声があがっているという。

一方、課題もある。リモートワークの場合、オフィス出社時のように上司と部下、同僚同士のコミュニケーションを気軽に行えないため、孤立感が高まるケースもあるという。

課題を解決するため、部署やチーム内で出社日を合わせる「チームデー」という制度を設け、対面でコミュニケーションできる機会をつくった。ひと月に1回はチームデーを設け、部署内での円滑な連携が取れるよう工夫している。

管理職にはリモートワークならではの注意も求められる。例えば在宅勤務の部下に対し「部屋を見せて」などの発言は禁物という。こうした注意点を網羅した「マネージャーガイドライン」を配布し、管理職教育にも取り組んでいる。

制度の運営を担当する人事・総務部人事企画部の水田久美子さんは「コロナ禍が収束してもモバイルワークは続けていくことになる」と話す。コロナ禍を経て企業の働き方改革は大きく前進し、柔軟な働き方が広がっている。同社は社員一人ひとりの働きやすさを追求し、今後も職場環境の改善を続けていく方針だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月16日掲載