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2022年3月17日

トヨタカローラ鹿児島、全国初「環境に優しい洗車」 排水再利用システムで水資源保全

トヨタカローラ鹿児島(中村博之社長、鹿児島市東郡元町)は「環境に優しい洗車」を提案し、地域とともに水資源の保全を目指している。その一環として、同社が新車拠点「オレンジテラス東開」を出店する複合施設「ポルダーテラス」(鹿児島市東開町)の洗車ブースに、全国で初めて洗車排水の再利用システムを導入。これにより洗車で使用する上水の9割削減を実現した。

今後は洗車機の利用者やパートナー企業と協力して、水資源の有効活用と社会貢献活動の重要性を広めながら、循環型社会の構築に取り組んでいく。

ポルダーテラスは洗車場をはじめ新車ショールーム、カフェ、アパレルショップが一体となった複合型の商業施設。洗車の待ち時間にくつろいでもらうことをコンセプトに、来場者へサービスを提供している。施設には同社とともに鹿児島ダイハツがショールームを構えるなど、全国的にもユニークな構成となっている。

鹿児島は桜島の降灰が車両に積もりがちなため、全国的にも洗車需要が多いエリアだ。ポルダーテラスはこうした需要の取り込みを狙って2019年に開設された。洗車のサブスクリプションサービスも採り入れ、利用者が気軽に利用できる環境も整えた。

洗車サービスの利用台数は多い日で1日に200台、月間平均では1500~1600台という。洗車機で使う水量は1台当たり100㍑から110㍑。毎月150㌧以上の上水を利用する計算となる。

この膨大な水の使用量を減らせないか-。同社はポルダーテラスの開設当初から環境保全に向けて洗車排水のリサイクルを検討。約2年間の開発期間をかけて今回、洗車に利用する水量を9割削減できる洗車排水リサイクルシステム「ポルエコウォッシュ」の導入に至った。

システムの開発と運用では、洗車機メーカーや水処理企業と協業。安全自動車、オスモ、ダイフクプラスモア、鹿児島水処理の4社が協力企業となっている。

このシステムの仕組みは、まず油分を取り除いた洗車排水中に含まれる異物をセラミック膜で除去。その後、オゾン発生槽で除菌と脱臭を行い、活性炭ろ過器で有機物を除去する。水質は肌に触れても問題がないように基準をクリア。さらに目視では上水と変わりないレベルの透明度を確保するなど、ユーザーが安心して洗車に使用できる〝水〟を追求した。システムは4月から本格運用を予定。洗車機2基で活用する。

サービス開始に先立ち、記者会見と洗車機のデモンストレーションを実施した。デモでは上水と再利用水それぞれを活用して洗車を行い、再利用水での洗車品質を確認してもらった。

記者会見で中村社長は「世界では慢性的な水不足に悩まれているエリアも存在する。収益の一部を活用して、そうしたエリアの力になっていきたい」と、洗車の売上金の一部を活用して、水不足に悩む国の支援などに取り組む意向を示した。今後の貢献活動については、社会課題の解決や環境保全への取り組みで知見を持つ地元企業を共創パートナーに迎え、「計画的にビジョンを持って、取り組んでいく」(中村社長)と話した。

また、同店ではPPA(電力販売契約)モデルによる太陽光発電も新たに設置。再生可能エネルギーを活用し、店舗運営でも環境対応を強化していく。

洗車排水リサイクルと再生可能エネルギーを導入した今回の一連のプロジェクトは、地域密着・顧客参加型のSDGs(持続可能な開発目標)プロジェクト「ポルダーテラス エコ アクション」と名づけた。持続可能な成長に向けた新たなチャレンジを展開し、鹿児島から全国へ取り組みを発信し、環境保全の輪を広げていきたい考えだ。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月10日掲載