会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2022年3月10日

日本メーカー海外生産車に存在感 輸入車市場で4年前の2倍

国内市場で、日本メーカーによる海外生産車の存在感が増している。日本自動車輸入組合(JAIA、クリスチャン・ヴィードマン理事長)によると、輸入車市場に占める日本ブランド車の販売台数は4年前と比べて2倍に増えた。

海外工場の技術力向上が進む中、各社は事業効率を高めるため、海外モデルを活用して日本向けのラインアップを増やしていることが要因だ。足元ではマツダが「CX-3」の生産をタイに移管する方針を固めている。今後も国内市場で一定のウエートを占めそうだ。

JAIAによると、2021年の日本メーカー車の販売台数は前年比37・1%増の8万4800台だった。過去最高は1995年の10万7092台。当時は日本ブランドの海外生産車が〝逆輸入車〟として人気を集めており、このブームを背景に販売を伸ばしたとみられる。昨年はここまでには届かなかったが、直近10年間では最高の水準となり、再び盛り上がりをみせている。

国内導入される海外生産車のトレンドも変化をみせている。2010年以降、日産自動車がタイ製「マーチ」を国内に導入するなど、各社で生産を海外移管した小型ハッチバック車を日本に持ち込む動きが目立った。このため、12年の日本ブランド車の販売実績は合計7万4430台にのぼっている。しかし、その後は小型ハッチバック車の人気低迷により、年4~5万台程度の規模で推移していた。

しかし、20年に日産がタイ製のコンパクトSUV「キックス」を発売すると、一気に増加に転じた。ホンダもタイから「アコード」を輸入。ダイハツ工業もインドネシア製の「グランマックス」を市場投入した。SUVやセダンなど、バリエーションが広がっていることも日系ブランド車の販売増加につながったとみられる。

足元のラインアップ拡大の一因が、生産技術の向上だ。日産は10年にマーチをタイ製に切り替えた当初、品質不具合が頻発し、その後の販売不振を招いた。この反省を踏まえ、キックスの導入に当たっては品質対策をさらに徹底。これが奏功し、販売台数は堅調に推移している。

マツダも量産車の海外移管に踏み切る。防府工場でのCX―3の生産を6月に終了。日本向けのモデルは4月に生産を開始するタイ工場からの出荷に順次切り替えていく。現地の生産レベルが高まっていることから、日本生産と同等の品質を維持できると判断した。これにより、グローバルで事業効率の向上を図る。

一般的に、海外生産モデルの国内投入は、日本生産では採算を見込めないモデルが対象になりやすい。実際、想定通りに販売が伸びず、短期間でカタログから姿を消したモデルも少なくない。しかし、海外工場の技術力が高まっている今、自動車メーカーや日本のディーラーが有効な販売促進策をとれば、さらなるシェア拡大を見込める余地は十分にありそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月5日掲載