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2022年3月01日

横浜で「ノスタルジック2デイズ」 国内最大級の旧車イベント

新車市場が急速な電動車シフトをみせる中、旧型車の人気が高まっている。往年の名車には1千万円を超える価格で取り引きされるものも目立つなど、こうした動きを裏付ける。2月19、20日にパシフィコ横浜(横浜市西区)で開かれた国内最大級の旧車イベント「ノスタルジック2デイズ」にも140社を超える旧車専門ショップや整備工場、カスタム部品メーカーなどが出展。

多くのファンや旧車ユーザーなどが来場し、出展社を含めた交流の場となっていた。また、日産自動車の協力で「フェアレディZ」の新型車と歴代モデルの特別展示も実現し、来場者の注目を集めていた。

旧車向けのカスタマイズパーツは、年間を通して一定した需要があるという。既販車は一定の年数が経過すると、純正部品が廃番となるケースもあり、補修部品の選択肢として選ばれることもある。こうした需要をさらに掘り起こしていこうと、パーツメーカー各社は今回のイベントの場で、製品の提案だけでなく、ユーザーからさまざまな相談を受け付けていた。得られた声や要望を今後の商品戦略に生かしていく狙いだ。

各社の特設ブースも活況を呈していた。キャロッセ(長瀬努代表取締役、群馬県高崎市)は、「クスコ」ブランドから「車高調整サスペンションキット」やボディー補強の「ロールケージ」などを装着したマツダ「ユーノスロードスター」を出展。これ以外のモデル向けのパーツも展示しており、カスタム用途だけでなく、純正部品の供給が途絶えた部用品の交換需要にも対応する。

この中で、エンジンマウントは補修部品としての機能に加え、走行性能も高められるため人気が高まっているという。補強パーツ「タワーバー」の改良も進め、適合車種も広げ、サーキットで走りを楽しみたい旧車ファンの需要を満たしたい考えだ。

藤壺技研工業(藤壺勇雄代表取締役、横浜市西区)は、マツダの初代「サバンナRX―7」用の「エグゾーストマニフォールド」などの排気系パーツ一式を参考出品した。「レガリスR」シリーズから同モデル用のマフラーを昨年商品化したが、発売前から問い合わせが多く商品構成の拡充を目指す。

同モデルは海外のファンも多く、将来的には海外展開も視野に入れる。また、これ以外の旧車向けマフラーも用意しているが、需要は安定しているという。このため、廃盤にした製品の復刻販売も検討している。

古いクルマを維持していく上で、劣化しやすいゴム系部品に加え、コンピューターなど電装系部品のトラブルに悩まされるユーザーが多い。純正の部品が欠品や廃番となれば、クルマを動かせなくなる場合もあり、旧車乗りには死活問題だ。こうした課題を互換部品の開発・販売で解決する事業に取り組む動きもみられる。

日清紡精機広島(大川等社長、広島県東広島市)は、マツダ「コスモスポーツ」用に製作したブレーキマスターシリンダーなどの補修部品を展示した。コスモスポーツの愛好家でつくるオーナーズクラブ向けに供給したもの。さらに、同社では広島マツダが企画した3輪トラック「T2000」のレストアに協力。修理を手がけたブレーキとクラッチが一体となったマスターシリンダーも披露した。

大川社長は「小規模の事業体だからこそ、愛好家や販売店からの悩みや要望を聞き入れ、名車の実働・維持に携わることができる」とし、今後は「マツダ以外のメーカーの補修部品再生にも挑戦したい」と意気込んでいる。

リチャージ(中村英孝代表取締役、兵庫県稲美町)は、ロータリーエンジン(RE)車の整備で培った独自の技術を用いた「コンピュータパワーユニット」や過給機のタービンなどのオリジナルパーツをPRした。一部の部品はマツダの販売店でも購入できる仕組みを整えているという。

中村代表は「RE車を後世に残したい一心でパーツの開発やユーザーからの整備を請け負っている」との意義を強調。その上で「現代の技術を用いることでレスポンスや燃費の向上が実現する」と同社製の部品を使うことで、安心して旧車に乗れるメリットを訴求していた。

工業製品などのメッキ処理を主力事業とする堀鍍金工業所(堀いづみ代表取締役、鳥取県鳥取市)は、2020年にレストア事業部を設立。前回のイベントに出展し、自動車やバイク部品のメッキ加工技術をPRしたところ、注文が倍増したという。

旧車には多くのメッキ部品が採用されており、レストア作業時にはネジなどの小物や細かなパーツの再メッキも需要が高い。今回の出展で、部品1点からでも注文を受け付けている点や、事業者だけでなく個人からの注文も歓迎していることを周知し、受注拡大に取り組んでいた。

エンドレスアドバンス(萩原正志社長、長野県佐久市)は、1月に開催した「東京オートサロン2022」に引き続き、レストアした車両2台を出展した。同社製のオーダーメイドブレーキを装着し、経年車でも高い制動力を実現しているのがポイント。ブレーキ周辺部品のリフレッシュを提案することで、安心かつ安全に旧車が走れるようにサポートしていく考えだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月25日掲載