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2022年2月28日

出光興産 給油所を電動モビリティ総合整備拠点化

出光興産は、系列給油所で電気自動車(EV)や電動バイク、電動トラクターなどの整備を担うモビリティの総合メンテナンス拠点化を目指す。給油所に在籍している整備士の技術力を活用する。これからの主流となる電動モビリティの整備にいち早く対応していく。

今後、物流でも導入拡大が見込まれるドローンの整備にも対応したい考え。次代のニーズに合わせた新たな給油所としていくことで、地域の事業者や消費者との接点を広げてビジネスチャンスの拡大につなげていく方針だ。

同社では各給油所が持つ整備設備や人材など既存の経営資源を最大限に活用しながら、新たな収益源に育てる計画。現在、内燃機関車を対象としたオイル交換やタイヤ交換、車検などのメンテナンスメニューは、給油所経営にとって重要な収益の柱の一つとなっている。

しかし、将来的に部品点数が少ないEVが主流となっていけば、1台当たりの作業量や利益の減少は避けられない。このため、地域ごとのニーズに合わせ、さまざまなモビリティのメンテナンスに対応できる環境を同社が整えることで、系列給油所の経営基盤の強化につなげる。

同社では、タジマモーターコーポレーション(田嶋伸博会長兼社長CEO、東京都中野区)と共同開発した独自の超小型EVを今年発売する。サブスクリプション(定額利用)型のサービスとして売り込むほか、カーシェアリングなどにも活用する計画。

これらのメンテナンスを各給油所が担っていくことで、電動車の整備ノウハウの蓄積につなげる。こうした積み重ねで、各給油所に在籍する整備士が、他の電動モビリティを扱えるようにしていく方針だ。

給油所の本業となるガソリンなどの燃料販売量は減少傾向にある。国内のガソリン販売量は直近で年率2%ほど減少したが、今後はさらに減少幅が大きくなる見通し。目減りする燃料販売収益をカバーするには、整備や用品販売などの燃料油以外の収益源の確保が欠かせない状況に迫られている。

これに対応するため、出光興産では22年度を最終年とする中期経営計画で「スマートよろずや」構想を掲げる。全国約6300カ所ある系列給油所の多機能化を目指していく。整備の領域でもビジネスの幅を広げ、拠点網の維持、強化につなげていく構えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞2月22日掲載