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2022年2月07日

大型車メーカー、コネクテッドを収益源に ビジネスモデル構築へ

国内の大型車メーカー各社がコネクテッドカー(つながるクルマ)を活用してアフターサービスを収益化するビジネスモデルの構築に乗り出す。通信技術を活用して商用車の安全運転やエコドライブにつながるサービスや運行管理システムを有償で提供する。

大型車メーカーや系列販売会社は、事故防止や業務効率化などでトラック運送事業者の経営を支援するサービスを提供することで、非新車販売部門の収益力を強化する。商用車で普及が進むコネクテッド技術を使ったサービスを新たな収益源として育成する狙いだ。

日野自動車は、コネクテッドデータを活用する高付加価値サービス「ヒノコネクト+(プラス)」として「安全エコ運転支援サービス」の提供を一部地域で開始した。運送事業者の運行管理責任者などが車載通信機を使って得た情報を分析、可視化されたドライバーごとの運転データを基に、事故防止や燃費が向上する運転方法を指導するのに役立つ情報を提供する。

交通事故を抑制できれば稼働率アップや、保険料などの経費上昇を抑えることができる。エコドライブが定着すれば燃料コストの抑制や、企業の社会的な責任としての環境対策にもつながる。商用車を事業に活用する法人にとって経営上のプラスとなることから、サービス料として1台当たり月額1千円(消費税込み)で提供する。

サービスは「顧客の稼働を支え、収益につなげていく」(松川徹財務・経理領域長)と、成果に期待する。日野は今後、コネクテッド技術を活用して事業者に付加価値を与えるサービスを展開することで、日野グループとして収益を確保する。

また、いすゞ自動車は運行管理スマホアプリ「MIMAMORIドライバー向けアプリ」を3月1日から提供する。商用車テレマティクスサービス「MIMAMORI」と連携したアプリで、従来2人必要だった運行前点検作業が1人で完了するため、省人化と作業時間の短縮が図れる。荷役作業などの労務管理や商用車の位置情報もアプリを活用できる。

通信技術とアプリを活用することでトラックドライバー不足や輸送の小口化・多頻度化などの問題への対応や生産性向上を支援するサービスとして展開する。利用料金はID1件当たり月額110円(同)で、5年で1万IDの獲得を見込む。

2021年の国内普通トラック新車市場は、半導体などの部品不足で大型車メーカー各社が生産調整を実施して2年連続で減少した。今後も市場の成長は見込めない中、大型車メーカー各社は普及が進むコネクテッドカーを使った新しいソリューションを積極的に展開することで、新車販売部門以外の新しい収益源確保に注力していく構えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月3日掲載