会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2022年1月25日

中小モーター専業メーカー 独自技術で新市場開拓、ニッチ分野に参入

中小規模モーター専業メーカーが電動モビリティ向けの事業拡大に本腰を入れている。カーボンニュートラル社会に向けた機運の高まりで電動モビリティの普及が見込まれることから、小型モビリティや電動バイクなど向けモーターの新製品を開発する。モーターメーカーの大手は需要が急拡大する電気自動車(EV)向けに集中していることから、中小は独自技術を活用して新市場を開拓する。

ハイブリッド車(HV)用駆動モーターや電動パワーステアリング用モーターなどを手がけているTOP(山本惠一社長、福井県越前市)は、超小型EVや電動二輪車などをターゲットに据える。新開発モーターと、パートナー企業が製造するインバーター、減速機を一体化した「eアクスル」での展開を見込む。「ニッチ(すき間)分野を攻める」(同社担当者)ことで、市場拡大を見込む電動モビリティ向け事業の獲得を狙う。

同社の本社のある越前市でeアクスルの試作品を搭載した超小型EVを使って実証走行している。今後、小型モビリティを手がける企業などに提案していく。

今回開発したeアクスルには、同社と福井県工業技術センターが共同開発した「Fβ(エフベータ)コイル」を採用、小型・高性能化した。らせん軸に沿ってコイルを巻きつける際に、隣り合う銅線同士が密着する技術で、製造時に品質が不安定化する原因となるスプリングバックの発生を抑制する。

銅線が浮かない分、巻き数を増やすことができるほか、体積を小さくできる。まずは搭載スペースが限られる小型モビリティでの実用化を想定する。

コアレスモータ(白木学社長、神奈川県大和市)は、鉄芯(コア)を使用しないコアレスモーターにギアを内蔵した「ギアインモーター」を用いてインホイールモーターを開発し、電動バイクでの実用化を目指す。独自開発したコアレスモーターは中が空洞で筒状になっている。

一般的なモーターのようにコイルがなく、加工した銅板にコイルと同じように電気が流れる仕組み。空洞部分にギアを内蔵したことで小型・軽量化し、高速回転時の電力ロスを低減できる。インホイールモーターは、車いすや自転車向けなども開発してきたが、脱炭素を背景に需要の伸びが見込まれている電動バイクへの展開を狙う。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月21日掲載