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2022年1月06日

日刊自連載〈回顧2021〉用品 半導体不足と原材料高騰響く

2021年は、用品関連企業も新型コロナウイルスの影響による半導体不足や原材料価格高騰に悩まされた1年だった。カーナビゲーションやドライブレコーダーなどのカーエレクトロニクスは、半導体不足によって生産が停滞し、用品店などへの納期も伸びた。カスタマイズパーツやアルミホイールなどは、金属価格が高騰して社内のコストダウン対応だけでは吸収しきれないことから値上げに踏み切った。

いずれも収束の見通しは未だ不透明で、22年も用品関連企業を取り巻く経営環境は厳しい状況が続きそうだ。

21年は、1月初旬に緊急事態宣言が発出されて以降、一時的な解除はあったものの、全国的に解除されたのは9月末。用品販売店などにとっては、外出自粛に伴う来店客数の減少などで厳しい1年だった。リアル店舗での売上は落ち込んだ一方で、電子商取引(EC)サイトを活用した販促活動などに注力して販売が堅調だった用品メーカーも少なくない。

世界的な半導体不足は用品業界にも波及し、カーエレクトロニクスや電子デバイスが組み込まれるカスタマイズパーツなどの生産に大きく影響した。日刊自動車新聞社が実施したカーエレクトロニクスメーカーを対象にしたアンケート(9月実施、11社回答)によると、半導体不足が9社、原材料価格高騰について8社が「影響ある」と回答。11社中6社が今期の業績見通しに影響があるとの考えを示した。

コロナ禍に悩まされた1年だったが、ソフトウエア、ハードウエアともに進化した新製品の発表は多く見られた。脱炭素に向けて電気自動車(EV)など電動車の普及促進に向けた動きが活発化する中、例えば音響に特化した製品がトレンドになりつつある。

サブスクリプションサービスの普及でハイレゾ音源の再生が容易になったことから、スマートフォンアプリの音楽や映像を高音質・高画質で再生できる車載機器の発表が相次いだ。DIYニーズの高まりを背景に、カスタマイズスピーカーの販売も伸びていることから、パイオニアはグローバルモデルを日本に初導入して新規顧客の獲得を狙う。

タイヤメーカーも電動化を見据えた動きを活発化させている。各社は車両重量の増加や高トルク化などに対応する製品開発に注力。日本ミシュランタイヤ(須藤元社長、東京都新宿区)は8月、電動車向けプレミアムコンフォートタイヤ「eプライマシー」を発売した。

ブリヂストンは、タイヤ重量や転がり抵抗を低減するEV向けタイヤ技術「エンライトン」の搭載比率を30年までに9割以上に引き上げる計画だ。横浜ゴムでは12月、ハイパフォーマンスカーの性能を十分に発揮できるハイグリップタイヤを発表し22年3月から発売する。

ワクチン接種が進んで新型コロナの新規感染者数も減少したことなどを受けて、秋以降は感染対策を図りながら集客型のイベントを行う動きも徐々に増えた。業界団体やカスタマイズ・タイヤメーカーが主催する走行会などのイベントはキャンセル待ちが出る人気ぶりだった。また、巣ごもり需要やマイカーでの移動機会が増えたことなどから、カスタマイズパーツで過去最高の売り上げを記録したメーカーも少なくない。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月25日掲載