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2021年12月27日

地域課題解決へ車活用の動き広がる 日産と住商、自治体の脱炭素化支援

カーボンニュートラル社会の実現や運転免許を返納した高齢者の移動など、地方が抱える社会問題の解決に向けて自動車を活用する動きが拡がってきた。日産自動車は、住友商事などとともに、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーを活用して自治体が取り組む脱炭素化を支援する活動を本格化する。

KDDIとWILLER(ウィラー、大阪市北区、村瀨茂高代表)は共同で、エリア内定額乗り放題となるモビリティサービスを全国展開する。脱炭素化や高齢者の移動といった社会課題の解決に向けて、自動車を軸に「さまざまなパートナーと一緒になってやっていく」(日産・内田誠社長兼CEO)。

日産は22日、EVを活用して自治体が進める脱炭素化の取り組みを支援すると発表した。住友商事と住友三井オートサービスと「自治体向け脱炭素化支援パートナーシップ」を締結した。EVの導入やEVカーシェアリングの活用、再生可能エネルギーマネジメントなど、地域の移動手段の脱炭素化、最適化する自治体向けソリューションの提供で協力する。

政府と歩調を合わせて2050年カーボンニュートラル実現を宣言する自治体が増える中、日産は先行してきたEV活用の経験やノウハウを生かし、脱炭素化を後押しする。

同日、都内で開いた会見で日産の内田社長は「日産では初代『リーフ』から10年以上、EV活用に取り組んできた。地域単位の取り組みをより広く、より深くするため、3社のノウハウを融合して全国の自治体とカーボンニュートラルに取り組む」と述べ、EVを活用したカーボンニュートラルに向けた取り組みの支援を本格化していく方針を示した。

日産はすでに、災害時の電源としてEVを活用するなどのEV活用プログラム「ブルー・スイッチ」を、自治体とともに取り組んできた。走行中の二酸化炭素(CO2)排出量がゼロのEVの活用を脱炭素化に拡げる構えで、地域が抱える社会課題解決に寄与していく。

政府が50年のカーボンニュートラル社会の実現を掲げて以降、自治体が「ゼロカーボンシティ」を相次いで打ち出しており、11月末時点で全国492の自治体が表明するなど、脱炭素社会に向けた関心が全国で高まっているものの「何をやったら脱炭素化につながるのか分からない」との声もある。

3社によるパートナーシップは、これまでのEV関連事業で培ってきた経験やノウハウを活用して、EVを活用して効率的に脱炭素を進めるソリューションなどを希望する自治体に提案していく。

一方、日産は同日、福島県会津若松市のスーパーシティAiCTコンソーシアム(中村彰二朗代表理事)と、EVを核とするエネルギーマネジメント構築に向けた連携協定を締結した。

コンソーシアム会員企業が入居するビルに太陽光発電パネルを設置し、発電した電力の蓄電装置としてSUVタイプの新型EV「アリア」を5台導入する。再エネの利用率向上や系統電力使用量の削減、EVを活用したエネルギービジネスの有効性などを検証する。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月23日掲載