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2021年12月23日

VWジャパン アウディ吸収合併、4ブランドの国内販売統括

フォルクスワーゲングループジャパン(VGJ、マティアス・シェーパース社長、愛知県豊橋市)は、2022年1月1日付でアウディジャパン(同、東京都品川区)を吸収合併する。合併後は四輪車4ブランドの国内販売を統括し、新車販売台数で国内最大規模のインポーターとなる。

電気自動車(EV)シフトやデジタル化など、自動車業界を取り巻く環境が激変する中、グループ体制を強化して意思決定の迅速化や業務の効率化・スリム化を図る。経営資源を集約して成長分野への投資を強化する。

VGJが存続会社となる。商号や所在地に変更はない。合併後はフォルクスワーゲン(VW)、アウディ、ベントレー、ランボルギーニの各ブランドを事業部制とし、それぞれの代表者に相当するブランドディレクターを置く。アウディ事業部は当面の間、シェーパース社長がディレクターを兼務する。

12月時点の2社の社員数はVGJが約260人、アウディジャパンが約80人。給与制度などは22年内をめどに段階的に一本化するほか、将来的には社員の働き方を模索しながら、同じ建物に入居する東京オフィスの統合も視野に入れる。両社がこれまでに締結していた販売店契約などは、内容を維持して継承する。

アウディジャパンは1998年にVGJのアウディ事業部が分離して事業を開始した法人で、24年ぶりに合流することになる。今年9月にアウディジャパン社長に就いたシェーパース氏が10月にVGJ社長を兼務するなど、合併に向けた準備が進められており、ディーラー向けITシステムを共用するなど、グループ企業として一体的な運営を進めてきたことも背景に、円滑な合併に至った。

同じフォルクスワーゲングループのポルシェジャパン(ミヒャエル・キルシュ社長、東京都港区)は別会社として存続し、納車前整備(PDI)センターの共用などでグループとしての協力関係を維持する。

「元の鞘に収まる」形となった今回の合併は、フォルクスワーゲングループが世界各国で進める現地販売法人再編の一環。シェーパース社長によると、自動車業界で脱炭素の機運が高まる中、ブランドの垣根を越えた戦略の策定が不可避となったことが背景にあるという。

日本法人として、足元ではEV販売に不可欠な急速充電網の整備などを各ブランドごとに進めているが、合併後はグループ一体での展開を加速させ、導入の迅速化や投資コスト節減を目指す。車両投入計画や販売台数目標、広告活動などの戦略は、今後も各ブランドが独立して策定する。

2社の合併により、新車販売台数で国内最大規模のインポーターが誕生する。VW、アウディ、ベントレー、ランボルギーニを合わせた2020年の新規登録台数(日本自動車輸入組合まとめ)は約6万台で、約5万7千台のメルセデス・ベンツや、合計約5万6千台のBMW・BMWミニをわずかに上回る。

ステランティス系のグループPSAジャパンとFCAジャパンも社長が兼務する体制を敷いてグループ一体での経営を進めるなど、輸入車業界では将来環境に備えた組織改革が加速する。メーカーはもちろん、販売法人の間でも規模の拡大で変化への対応力を蓄える動きがますます広がりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月20日掲載