会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2021年12月21日

経産省 有識者会議で「クリーンエネルギー戦略」構築、産業構造転換へ

岸田文雄首相が策定を指示した「クリーンエネルギー戦略」の構築に向けた本格的な議論がスタートした。経済産業省は新たな有識者会議を設置し、これまで供給側のみ着目されがちだったエネルギー政策の視点を広げ、需要側の取り組みを含めた検討を進めていく計画だ。

需給一体で実効性のある戦略を策定し、次代に対応した産業や社会の構造転換につなげていく。自動車産業では原材料の確保から生産、使用、リサイクルまでのライフサイクル全体を考慮した取り組みをいかに進めていくかが、議論のポイントの一つになりそう。経産省では来年6月頃の取りまとめを目指す計画だ。

新たな会議体は通称「クリーンエネルギー戦略検討合同会合」で、産業構造審議会と総合資源エネルギー調査会にそれぞれ設けた小委員会を連携させる形で運営していく。政府はこれまでに、脱炭素化を推進する具体的な計画として、産業政策にスポットを当てた「グリーン成長戦略」とエネルギー政策に着目した「第6次エネルギー基本計画」を策定済み。

これらの計画立案で中核を担った双方の会議体が協力し、それぞれの知見を組み合わせて新たな戦略づくりに取り組む。こうして需給両面が一体となり、日本の産業、社会の進むべき方向性を導き出していく。

今週開催された初会合ではクリーンエネルギー戦略の論点を整理。「エネルギーを起点とした産業のGX(グリーントランスフォーメーション)」「GX時代の需要サイドのエネルギー構造転換」「GX時代に必要となる社会システム、インフラ導入」の3テーマを柱に据えることが決まった。

合わせて、世界各国におけるエネルギーや脱炭素化に向けた政策動向や産業別の規制状況なども報告された。自動車関連では米国や欧州、中国など主要な自動車市場における電動化戦略に加え、リサイクルまでをとらえた欧州の最新のバッテリー産業政策なども紹介された。

合同会合は、複数回実施する計画とみられる。次回以降は個別論点の議論に移る見通しで、産業界のさまざまな関連団体などのヒアリングも実施していく予定だ。

委員の中からは今後の議論の進め方について、総花的な議論に陥らないよう「自動車など日本の産業の強みに絞った議論を行った方が良いのでは」との意見も出されていた。日本経済を支えている自動車産業が脱炭素化で大きな岐路に立つ中、これから歩むべき将来像づくりが話し合われる可能性も高そうだ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞12月18日掲載