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2021年12月17日

政府、ガソリン小売り価格安定へ 燃料油価格激変緩和対策の発動準備完了

政府は13日、燃料の小売り価格安定に向けた「燃料油価格激変緩和対策事業」の発動準備を完了した。レギュラーガソリンの全国平均店頭価格が170円を超えた際に発動し、原油市場価格の上昇分を1㍑当たり最大5円まで元売り事業者に補填する。これを給油所への卸価格に反映してもらい、小売価格の急激な値上がりを抑える。

同事業には元売りをはじめ、石油製品の輸入商社など29社の参加が決定した。足元では市場価格が低下傾向にあるが、対策を適宜発動できる体制を整えたことで、ドライバーや自動車関連事業者の安心感につなげる考えだ。

今回の事業にはエネオスや出光興産、三菱商事などが参加。資源エネルギー庁は、これら29社で「ほぼ日本で販売される石油製品をカバーできる」と説明する。

対策事業では、まず同庁が毎週月曜日に行っている石油製品価格調査で全国平均が170円を超えた場合、水曜日に元売りなどへの支給単価を公表。参加各社は、その単価を木曜日から1週間の卸価格に反映する。前週同等の卸価格となるよう補填する方針で、小売りへの波及を抑え価格安定につなげる狙いだ。

卸価格安定のための原資は全国石油協会に基金を設けて元売りなどに支給する。すでにエネルギー対策特別会計の執行残と予備費を合わせた約93億円を基金に積み上げており、早期の発動にも対応できる。さらに、現在国会で審議中の2021年度補正予算案にも800億円を盛り込んだ。確定すれば予備費を除く500億円を基金に計上し、支援体制を拡充する。

前例のない事業となるため、適正な運用に向けチェックを強化する。エネ庁は全国に約2万9千カ所ある給油所の価格動向を「すべて調査する」方針。給油所から報告を求めるほか、電話での確認も進める。周辺地域と異なる値動きなどがあれば、現地調査も行う。

対策事業では、元売りや商社が政府の支給額をすべて卸価格に反映させる決まりがある。補てん分は各社に事後精算するが、エネ庁はこれが実行されていることと、実際の出荷量を確認し「エビデンスが無い限り払わない」方針だ。

博報堂に委託する事務局などを通じてサポートと情報公開を強化する。13日にはコールセンターを立ち上げ、当初想定される給油所からの問い合わせに当たる。実際に制度が発動すれば、一般のアクセスも増えるとみられることから、状況に合わせて人員を拡充する計画。事業の詳細をPRするポスターも制作したほか、ホームページで発動状況などを公開し、タイムリーな情報提供にも取り組む。

政府は同事業を緊急的かつ時限的な措置とし、来年3月末に終了させる方針。国民に現状の価格水準に慣れてもらうことが政策目的のため、一旦発動すれば4週ごとに発動価格を1円ずつ引き上げることになっている。

ただ、足元では新型コロナウイルスの新たな変異株への懸念から国際的な原油相場が下落傾向にある。6日時点の国内ガソリン価格も4週連続で低下しており、すぐに発動される公算は小さそうだ。

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月14日掲載