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2021年12月10日

カスタマイズパーツメーカー レンタル、カーシェア事業の展開拡大

カスタマイズパーツメーカーが、レンタカーやカーシェアリング事業を展開する動きが広がっている。カスタマイズカーの貸し出しを通じて、ニーズの把握や新たな商品・サービスの開発に生かすほか、カスタマイズパーツの購買にもつなげたい考えだ。

CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展で改造範囲が狭まり、カスタマイズ市場が先細りするとの見方もある。事業の存続と持続的成長のためにも、従来の売り切り型ビジネスから脱却して付加価値の創出と新サービスの展開に取り組む。

アルプスアルパインの子会社アルパインマーケティング(石田宗樹社長、東京都大田区)は9月、カーナビゲーションやサウンドシステム、アウトドアの道具をパッケージングしたカスタマイズカーシェアリング事業「ストリカ」を新たに開始した。所有から利用へと消費者の価値観が変化していることを受け、愛車に限らず移動に感動を与えるサービスとして展開する。

今月1日には、移動オフィス型車両を新たに導入した。後席に折り畳みテーブルとディスプレー、ポータブル電源を装備。大画面モニターや天井スピーカーも設置してエンターテインメント性を高め、テレワークとレジャーを両立できる仕様とした。

アルプスアルパインの渡辺好勝執行役員は「(ユーザーの消費行動が)『モノ』から『コト』へと変化が進む。カーシェアリング事業でカーナビと連携した商品やサービスなどを展開し、技術の知見を蓄えたい」と狙いを説明する。

エアロパーツの開発・販売を手がけるダムド(面髙翔五代表取締役、神奈川県大和市)は、カスタマイズカーレンタルサービス「ロドリップ」を展開している。スズキ「ジムニーシエラ」をベースに内外装を自社パーツで加飾したコンプリートカー「ジムニーリトルD」と、キャンプ道具などをセットにして貸し出している。

カスタマイズカーをキャンプの現場で実際に試すことで、購入後の利活用を想定できることから、将来的な販売につなげるのが狙いだ。面髙社長は「キャンプ道具をセットにしたカスタマイズカーシェアリングを観光地に設置し、プチMaaSのようなものに成長させたい」と述べ、車種やサービスの拡充に意欲的だ。

ディーラーでも同様の動きが見られる。タイガーオート(山中哲治社長、埼玉県鶴ケ島市)は、ジープ「ラングラー」をカスタマイズしたコンプリートカー「タイガーパッケージ」のレンタカーを、系列のジープ所沢(埼玉県所沢市)と在庫共有し、購入を検討するユーザーに貸し出している。

オプションパーツを多彩に装備することで、ユーザーのさらなるカスタマイズの参考となるデモカーの側面もあり、車両・用品の販売につなげている。

個性豊かなカスタマイズカーを利用したモビリティサービスを提供できるのは、カスタマイズパーツメーカーならではの強み。利用者を増やして事業として収益を確保をする上でも、今後はさらなる認知度の向上と誰もが手軽に利用できるプラットフォームなどサービスの拡充が必要となりそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月7日掲載