2021年12月09日
国内の四輪車保有台数、1千万台超えは4社 HVと軽が成長けん引
国内の四輪車保有台数(3月末時点)が1千万台を超える自動車メーカーは、ダイハツ工業が今年新たに加わって計4社となった。2千万台超のトヨタ自動車に続く「1千万台クラブ」の形成は、2014年のホンダ、16年のスズキと比較的最近の動きだ。過去10年間の商品戦略から保有台数増の要因を分析すると、トヨタはハイブリッド車(HV)が、3社は軽自動車が成長のけん引役だった。
今後は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」の進展をはじめ、顧客の囲い込み策である残価設定型クレジットやサブスクリプションサービスの活用が、ストックビジネスの源泉である保有台数をめぐる攻防のカギとなる。
自動車検査登録情報協会(自検協、後藤悦治郎理事長)が発表した「21年版わが国の自動車保有動向」によると、21年3月末の四輪車保有台数は約7831万5千台で、13年から微増が継続している。一方で、クルマの長期使用化も進んでいる。
21年3月末の軽自動車を除く乗用車の平均車齢は、8・84年と29年連続で上昇した。10年前の11年と比較すると1・10年延びた。また、20年12月末の軽乗用車の平均車齢も、8・77年と15年連続で上昇した。いずれも過去最高だった。
21年3月末の自動車メーカー別四輪車保有台数を見ると、前年を上回ったのは6社と輸入車。そのうち、トヨタ、スズキ、ダイハツは登録車、軽自動車ともに台数を伸ばした。トヨタは20年5月から全店舗全車種販売(一部の車種を除く)を開始。
「ヤリスクロス」など新型車を相次いで投入して、販売増と新規顧客獲得に攻勢を強めている。スズキとダイハツは、主力の軽自動車だけでなく、小型車の商品投入と販売強化を背景に登録車の保有台数を堅調に伸ばした。
ただ、トヨタの全店舗全車種販売について、「(トヨタ系販売会社の数だけ)新たな競合他社が増えたわけで、単純に足し算をしてトヨタのシェアが増えるかと言えば、そうでもない」との見解を示すトヨタ系販社の経営者もいる。
全店舗全車種販売の前倒しや想定外の新型コロナウイルス感染症の拡大で「入念な準備ができなかった。とにかく走りながら(全車種販売のPRや施策を)考えて実践してきた」と、別のあるトヨタ系販社の幹部はこう振り返る。
これまでのところ、各社共通した売れ筋は「ハリアー」や「アルファード」など台当たりの収益性が高い商品に集中しているという。そうした商品を除くと「顧客層のこともあって、従来から売り慣れている旧専売車種の販売台数が自然と多くなっている」(同)。特に旧トヨペット店は、旧専売車種の顧客防衛と販路拡大の二面展開が求められた。
21年3月末のメーカー各社の四輪車保有台数を、10年前の11年3月末と比べると台数増減の明暗が浮かび上がる。まずは、台数規模による順位に変動があった。ホンダが2位から3位に、日産自動車は3位から5位に転落。
代わって4位だったスズキが2位に上昇し、16年3月末で1千万台を超えた。19年3月末に登録車は100万台を突破。20年3月末は、登録車の増加台数(前年比5万2785台増)が軽自動車の増加台数(同4万3287台増)を初めて上回った。
ホンダは、登録車が16年から5年連続で減少。一方で、11年12月に発売した「N―BOX(エヌボックス)」がヒットし、この10年間で軽自動車は約126万台増えた。21年3月末で、登録車と軽自動車の台数差は約30万台となった。
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞12月6日掲載