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2021年11月29日

AIで交通事故リスク技術研究 ホンダやデンソー、ドライバーに注意喚起

交通死亡事故ゼロ社会の実現に向けて事故発生の危険を予測してドライバーに注意を促す技術の研究開発が加速している。ホンダは25日、人工知能(AI)を活用してリアルタイムで運転中のリスクを推定し、ドライバーが運転操作ミスをしないように誘導する技術を開発すると発表した。デンソーは運転中のドライバーの状態をAIが解析し、事故のリスクを検知した場合、運転者に警告する技術を開発する。

現在、実用化されている先進運転支援技術は事故の発生を回避するものが中心だが、データから将来を予測できるAIを駆使することで事故を起こさない技術の開発が進む。

ホンダは2050年に既販車を含めてホンダの二輪車、四輪車が関与する交通死亡事故ゼロの実現を目標に掲げている。これを実現するために知能化運転支援技術を開発する。ドライバーモニタリングカメラや運転操作の状態からドライバーの運転ミスの予兆をAIで推定し、ドライバーの認知状態と交通シーンに応じて安全運転を支援する。

自動車の交通事故の9割がドライバーのミスで発生していることから、運転操作ミスや見落とし、漫然運転などによるリスクをAIが予測、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を使ってドライバーが操作ミスしないように誘導し、交通事故が発生リスクを低減する。数年以内に要素技術を確立し、20年代後半に実用化する。

知能化運転支援技術に加え、先進運転支援技術の機能を拡充することで、30年に既販車を含めて全世界のホンダの二輪・四輪車が関与する1万台当たりの交通事故死者数を20年比で半減させる目標も設定した。

また、デンソーは先端技術研究所が中心となって、AIを活用してドライバーの感情を認識し、事故発生リスクを低減する技術の実用化を目指している。運転中のドライバーの表情やしぐさを機械学習でモデル化して、ドライバーの表情を数値化、喜怒哀楽を検知する。

大学と連携してMRI(磁気共鳴画像)装置で分析した脳波などのデータや、ウェアラブル端末で取得したデータなども加えて、運転者の感情を推定する技術を開発した。

今後、ドライバーの状態から事故のリスクが高いと判断した場合、音や光、香りなどでリスク低減を誘導する仕組みを組み合わせ、効果を検証して、実用化を目指す。

自社の自動車が関わる交通死亡事故ゼロ目標はホンダのほか、スバルやボルボ・カーズなども掲げており、安全技術の開発競争が激化する。ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所の大津啓司社長は目標に掲げる50年の交通事故死者ゼロについて「企業として達成する意思を示したので、リソースを最大限投じる」と述べ、安全技術の研究開発投資を拡充して業界をリードする構えだ。

カテゴリー 交通安全
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月26日掲載