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2021年11月19日

政府、電動化促進へ電池工場立地を支援 新しい資本主義実現会議で提言案

政府は8日開催した2回目の「新しい資本主義実現会議」で、「緊急提言案」を提出した。岸田文雄首相が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向けて、政府が率先して取り組むべき政策をまとめたもの。その成長戦略の中には、自動車の電動化を促進するため、2030年までに車載用電池及び材料の大規模生産拠点の国内立地を支援することが盛り込まれた。

分配戦略では、賃上げを行う企業の税額控除を拡大するなど税制支援の強化も含まれている。緊急提言案の一部は政府がとりまとめを急ぐ数十兆円規模の経済対策や、今年度の補正予算の編成にも生かされる見通しだ。

緊急提言案は、同会議担当の山際大志郎経済再生担当相が提出した。新型コロナウイルス感染症の先を見据えた社会づくりを含む新しい資本主義の起動に向けた考え方に加え、成長戦略と分配戦略に分けて政策が整理されている。政府は来春にもビジョンと具体化に向けた実行計画を取りまとめる考えだが、コロナ禍で傷んだ経済や産業の回復支援のため、経済対策など一部施策を前倒しして実施する方針だ。

成長戦略は4つの柱で構成。このうち、自動車の電動化は「科学技術立国の推進」に含まれる。電池の大規模工場の立地促進に加え、充電網や水素ステーションの整備も促進し、電気自動車や燃料電池車について30年までにガソリン車並みの利便性を実現していく。

車両購入支援も実施し、35年までとしている乗用車新車販売の100%電動車化を実現させる狙い。これに伴う部品メーカーや燃料小売、整備事業者などの事業転換もサポートする。さらに、合成燃料の技術開発も促進して内燃機関の脱炭素化にも力を入れていく。

このほか、岸田首相肝いりの「デジタル田園都市国家構想」に向け、道路運送車両法や道路交通法を改正して自動配送の実現を急ぐ。経済安全保障の強化では、自動車産業にも欠かせない先端半導体の国際共同開発支援体制の構築と、国内での生産拠点の新設や既存工場の刷新をバックアップする。

一方、分配戦略は民間と公的部門に分けて整理した。民間向けは賃上げ企業への税制支援のほか、大企業と中小企業の取引適正化に向けた監督強化など中小・小規模事業者の生産性向上にむけた施策を充実させる。公的分野では賃上げを行う企業から優先的に政府調達を行えるよう制度を見直す考え。

今回まとめられたさまざまな施策は、経済対策や補正予算だけでなく、来年度に向けた税制改正プロセスや国会での関連法案の審議などを通じて、早期の実現を目指していく方針だ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞11月9日掲載