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自動車産業インフォメーション

2021年11月10日

政府、電動商用車の運用効率化へ 情報プラットフォーム構築検討

政府は、電気自動車(EV)など電動商用車の普及および運用の効率化に向けて情報プラットフォーム構築の検討を開始した。運輸事業者が運行コストや温暖化ガス排出の削減効果をシミュレーションできる機能を用意して各社の効率的な運行計画づくりに活用してもらう。

その上で、車両走行データや充電時間帯などの情報提供に協力してもらい、電動商用車の普及による総合的な環境効果の検証、電力供給の調整に役立てる。

さらに天候情報や個社独自の交通情報を政府主導で共用データに組み入れて交通流全体の運行最適化を支援するなど、電動商用車の運行を支える社会システムとしての定着を目指す。

「産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会産業構造転換分野ワーキンググループ」内で有識者の意見を踏まえながら、プラットフォームの詳細を検討していく。予算は2兆円規模の「グリーンイノベーション基金」から捻出する方針。

プラットフォーム上では、運行シミュレーションの提供に加え、タクシーやバス、トラック事業者などから各種データを収集する。収集データは、稼働率や積載量、配送時間、エネルギー使用量などを見込む。このデータを活用して、業種や地域性に応じた運行状況を割り出し、エネルギー使用の最小化などにつなげていく。

各社のデータは共有データベースに反映するが、営業上の秘匿データなどを明かさないようセキュリティーを確保し、競争と協調の両立を図る。各社が持つ自社データと、地図や天候、交通といった外部のビッグデータも連動させて、移動で生じるロスを最少化するよう運行マネージメントを最適化する。

こうして輸送コストの低減と、運輸部門で約4割を占める商用車のCO2排出量の削減につなげる。また、情報は充電インフラの配置の最適化などにも生かす。

電動商用車の普及の足かせになっているインフラの整備不足などを、データを用いて改善していく考え。2030年を目標にシミュレーションと共有データベースを連携させるなど、段階的に社会実装に向けた検証を進めていく方針だ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月28日掲載