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2021年11月02日

福島の自動車団体と自治体 災害時連携を本格化、共同訓練も

福島県で自動車団体と自治体の災害時連携が本格化している。福島県自動車販売店協会(金子與志人会長)は、電力会社や自治体と共同で災害時の対応を想定した訓練を実施した。

自動車から電力を供給して避難所などで活用してもらい、住民の避難生活の利便性を高めるための取り組みで、福島自販が2020年5月に福島県と締結した「災害時における電動車両等を利用した停電対策等に関する協定」をもとに行った。全国の自動車販売店協会のうち、電力会社と訓練を行ったケースは初めてで、万が一の際の円滑な車両配備や給電ができるよう準備を進める。

福島自販は、東北電力福島支社と東北電力ネットワーク福島支社の2社合同で、非常災害訓練を実施した。訓練では、地震などの災害が発生した際の電力復旧や電動車を使用した給電などをデモンストレーションした。

訓練に参加した福島自販の大沼健弘副会長は「自家用車での給電は、機動力が高い。訓練を重ねることで課題を抽出し、本番で失敗のないようにする」とし、東北電力などの災害発生時のノウハウも生かしながら備えを進めていく考えを示した。

市町村を対象とした取り組みもスタートした。福島自販は、南相馬市で市職員を対象に、トヨタ「アクア」「プリウスPHV」、日産「リーフ」を使用した運用訓練を開催。給電のためのシステムが異なる3タイプを用意し、販売店の担当者が給電開始から終了までの手順を説明した。

自販は訓練を通じて、避難所での電力の用途の確認を行い「避難所で、どの程度電力が必要なのかイメージを伝えてもらえると車両の用意がしやすい」といった要望を伝えた。市の担当者は「災害時の電源確保は重要課題で、災害時の生活や生命を守ることにつながる。自動車の技術の進化を生かしていきたい」と期待を寄せた。

自販が県と締結した協定は、東北電力が災害発生時の停電状況を自販と共有し、市町村に給電車の必要性をヒアリングして車両を差配する。自販は、21年6月時点で110台を超える給電車両を用意し、県内の市町村へ配車を行える体制を整えている。今後は車両台数を拡充し、市町村への対応をより細やかに行える体制の構築を目指す。県内の市区町村には、共同訓練実施も呼びかけていく。

カテゴリー 社会貢献
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月27日掲載