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2021年11月01日

政府、自動運転「レベル4」以上の開発支援 高精度シミュレーション基盤構築

政府は「レベル4」(限定領域での自動運転)以上の自動運転車開発の支援に乗り出す。コンピューター上で現実世界をつくるデジタルツインを活用し、国内の自動車、部品メーカーが共通して利用可能な高精度シミュレーション基盤を構築する。同シミュレーションを電動車の開発にも応用することで、電気自動車(EV)の開発サイクルを従来の半分程度に短縮する。

現在の開発手法は、実機を用いた検証が主のため、膨大なデータ処理が必要な高度自動運転車などでは、開発サイクルの長期化やコスト負担の増加が懸念される。開発プロセスの短縮と手法の共通化を進めることで、高効率な開発体制を構築する。

レベル4機能の担保を目標に、オープン型基盤ソフトウエアとセンサーシステムの開発を目指す。走行環境などに応じ、「認識」「判断」「制御」の各タスクの取捨選択をできるようにする。また、カメラやレーダーなどセンサー類の性能改善を進めることで、情報処理時間の大半を占める認識工程の短縮を図る。車載コンピューティングにかかる消費電力を今後10年で70%以上削減することを目指す。

また、自動運転車、電動車開発で用いる車両シミュレーション基盤の確立も図る。デジタルツイン技術を用いることで、ブレーキやステアリングといった足回りやECU(電子制御ユニット)などを、一体で計測できるようにする。特定の企業で占有するのではなく、サプライヤーを含む国内のメーカーが利活用できるモデルにする。実機を用いた検証と比べて期間を半減できるレベルでの構築を目指す。

レベル4以上の高度自動運転車は、2030年代以降に普及すると見込まれている。電動車に関しても、国が全ての新車販売を電動車にするという目標を掲げた35年以降に本格化すると予想される。今後10年で開発の土台を整え、本格的な普及に備える。

30年を一つの指標に開発を進める。予算などは2兆円規模の「グリーンイノベーション基金」から捻出する。具体的な補助内容などについては「産業構造審議会グリーンイノベーションプロジェクト部会産業構造転換分野ワーキンググループ」内で検討していく。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月27日掲載