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2021年10月26日

政府、環境・エネルギー5計画を閣議決定 目標達成へ具体策課題

政府は22日、環境やエネルギーに関する5件の計画を閣議決定した。「地球温暖化対策計画」「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」「日本のNDC(国が決定する貢献)」「気候変動適応計画」と第6次「エネルギー基本計画(エネ基)」で、このうち環境に関する計画は、31日に英国で開幕する国連の気候変動枠組条約第26回締結国会議(COP26)で世界に示す。

それらには「2050年カーボンニュートラル」に向けて「再生可能エネルギー第一」という方針を盛り込んだ。ただ、達成への具体的な道筋は不明確だ。

エネ基では、30年度の電源構成で、再生可能エネルギーの比率を現在の約2倍となる36~38%に引き上げることを「野心的な見通し」として盛り込んだ。水素とアンモニアを活用した再エネについては今回初めて30年度目標(それぞれ1%)を明記した。原子力は従来計画と同じ20~22%とした。

石炭火力に関しては、従来の26%から19%に比率を引き下げたが「当面は再エネの変動性を補う調整力、供給力として必要」とし、少なくとも今後10年は電源構成の一定割合を担うとした。液化天然ガス(LNG)や石油などを加えると、化石燃料由来の電源は30年度も全体の約4割を占める見通しだ。

国のエネルギー政策を示すエネ基は、カーボンニュートラルの取り組みを進める産業界も注目する。製品単体にとどまらず、製造から使用、廃棄まで含めた二酸化炭素(CO2)排出削減が世界的に求められているためだ。

4割近い再エネの割合は一定の評価を得られる半面、莫大な設備投資や電源系統の安定化に必要な費用を誰がどう負担するのか明確にはなっていない。

日本自動車工業会の豊田章男会長は「再エネ関連だけで25兆円以上の追加投資がいる」とも指摘する。足もとでは石炭や原油価格が高騰し、原発の再稼働も思うように進まない中で、計画の実効性が厳しく問われることになる。

カテゴリー 社会貢献
主催者

日刊自動車新聞10月23日掲載

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月23日掲載